安定稼働にこだわり、SLAもよりユーザー有利に

信頼性という点では、プラットフォーム部分にも自信を持っている。Microsoft Online Services で使用しているオンラインサービス基盤は、「Hotmail等で10年以上にわたりサービスを提供してきた実績があるもの」(磯貝氏)。この基盤の上に上記のアプリケーションを組み合わせているため、導入効果のみならず、「安定稼働の面でも安心してもらってよい」(磯貝氏)という。

なお、磯貝氏は安定稼働に関して「特に配慮している部分」と補足する。Microsoft Online Services では、メールやスケジュールなど、ビジネスの根幹を成す情報を扱っているだけに、サービスが停止すれば企業に与える損害は大きい。エンタープライズの分野を長年にわたり牽引してきたマイクロソフトでは、そのあたりの企業ニーズに敏感で、「サービスレベル契約(SLA: Service Level Agreement)も他社よりも細かく設定している」(磯貝氏)という。

例えば、稼働率は99.9%を保証しているが、その対象期間は年ではなく月で区切られている。

「他社のサービスにも"99.9%稼働保証"としているものもあるが、対象期間は年間であるものが多い。この場合、8時間連続停止しても1回であれば保証条件内に含まれてしまう。8時間となると、ビジネスアワー1日分。一日中、会社の機能が停止することになるので損害額は大きい。それに対して、月間99.9%であれば、許される停止時間は40分強。損害を与えることに変わりはないが、その額には大きな差が出る」(磯貝氏)

サービスレベル契約

月間稼働率 返金される割合
99.9%以下 25%
99%以下 50%
95%以下 100%

リスク低減に向けた施策

セキュリティ面に関しても、先に触れたとおり、同社のセキュリティ製品「Forefront」がそのまま組み込まれており、管理者が特別なことを行わなくても、各種の脅威に対してサーバ側で自動的に対応してくれる。こちらはSharePoint上のファイルに対しても有効で、基本的なセキュリティ対策の一切をマイクロソフトに任せることができる。

さらに、データ保全という点に関しても、データセンターを複数用意し、冗長化構成をとっている。日本向けには、プライマリをシンガポール、セカンダリを香港に置いており、仮に一方で大地震などが発生してデータセンターが機能不全に陥っても、すぐにもう一方に切り替えてサービスを継続することができる。

ちなみに、データセンターが海外ということでパフォーマンスを気にする方もいるかもしれないが、マイクロソフト社内でもExchangeなどはシンガポールのデータセンターのものを利用しており、「これまで問題が生じたことはない」(磯貝氏)という。

Microsoft Online Services のSLAとリスク低減に向けた施策

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以上がMicrosoft Online Services の主な機能と特徴になる。

残念ながら、本稿はMicrosoft Online Services の概要紹介にとどまっており、その特徴を十分に拾いきれたとは言い難い。実際に導入を検討するとなると、機能の詳細や、使い勝手なども気になるところだろう。

そこで、本誌はITエキスパートであり実際に企業を経営する4人の代表取締役に実際に導入をお願いし、その模様を1人3回ずつ、計12回にわたてレポートしてもらおうと考えている。こちらのトップページで順次公開していくので、ぜひそちらも参考にしてほしい。