ソーラーカーレースの優勝マシンの実物を展示

シャープのブースでは、2009年10月24日から31日にかけてオーストラリアにて開催された世界最大級のソーラーカーレース「Global Green Challenge」にて優勝した東海大学のソーラーカー「Tokai Challenger」の展示などを行っている。

ソーラーカーレース「Global Green Challenge」にて優勝した東海大学のソーラーカー「Tokai Challenger」

Tokai Challengerの全長は4,980mm、全幅1,640mm、全高956mmで車両重量は150kg以下、太陽光のみの巡航速度は95km/hで、最高速度は150km/hを達成している。太陽電池には同社製の変換効率30%の化合物太陽電池、出力1.8kW分を搭載、バッテリにパナソニック製リチウムイオン2次電池25kg(5.6kWh)を搭載している。

この化合物系太陽電池では、参考出展として変換効率35.8%を達成した「化合物3接合型太陽電池セル」の実物も展示されている。同変換効率は、従来の3層構造(InGaP/(In)GaAs/Ge)ではボトムのGeで電流ミスマッチにより無駄になる余分な電力があるとのことで、新たにInGaP/GaAs/InGaAsの3層構造を構築。これにより、電流がマッチし、電圧が向上した結果、取り出す電力を多くすることに成功したという。

化合物3接合構造を採用し、変換効率35.8%を達成した参考出展の太陽電池セル

このほか、薄膜シースルー太陽電池や薄膜太陽電池が展示されているほか、携帯機器用太陽電池モジュールとして、従来の最高出力300mW(外形寸法67.5mm×41mm×0.8mm)から半導体パッケージ技術のノウハウなどを応用したことで外形寸法65.5mm×41mm×0.6mmと若干小型化を実現しながらも最大出力を450mWに向上させることに成功したものを参考出展として展示している。

シャープが開発した薄膜シースルー太陽電池

黒い塊にしか見えないが、携帯機器向けの小型太陽電池モジュール

バックコンタクト技術による太陽電池モジュール

京セラのブースでは、自社のpoly-Si太陽電池セルを用いた各種モジュールやプリウスのオプションとして提供されているルーフ向けのソーラーパネルなどの展示が行われている。

プリウスのオプションとして提供されているルーフ向けソーラーパネル

すでに出荷が開始されているモジュールのほか、プロトタイプとして、電極をバックコンタクト技術を用いてセル背面に配置したセルを用いたモジュールも展示している。

バックコンタクト技術を採用した太陽電池モジュールのプロトタイプ

同セルは、同社が150mm角の太陽電池セルで変換効率18.5%を達成した際の技術が応用されており、156mm角のセルで変換効率17.5%を達成、総出力は1枚で220Wとなっている。一部サンプルの出荷も行っているが、コストがまだ従来のモジュールと比べ割高であるなどの問題もあり、当面は市況を見ながら、従来の変換効率16.5%から16.9%に引き上げた従来技術の改良型モジュールの提供を中心に行っていく計画としている。