これまでITへの投資は、ITの進化と共に右肩上がりで伸びてきました。しかし最近は、TCO(Total Cost of Ownership:情報システムの導入、維持・管理などにかかる費用の総額のこと)の削減ということが強く求められてきています。Q1の項目でも触れましたが、ここではブレードサーバで実現できるTCO削減について詳しく説明しましょう。
【消費電力】 台数増でブレードサーバが有利に
ブレードサーバというと、高電力消費のサーバというのがちょっと前までのイメージでした。しかし最近は、低消費電力のCPUやメモリが登場したたため、ブレードサーバでも低消費電力モデルが発売されるようになりました。
また、ラックマウントサーバよりも「シャーシ(エンクロージャ)があるから高消費電力」と思われがちですが、台数が増えれば、1台あたりの消費電力はブレードサーバの方が低くなります。
具体例として、同等スペック(デュアルコアXeon、3.5インチSASストレージ)のブレードサーバ(サーバモジュール206W、専用シャーシ500W)と1Uラックマウントサーバ(340W)の消費電力を比較してみると、4台でラックマウントサーバを逆転し、10台で比較するとブレードサーバは2560W、1Uサーバは3400Wとなります(表1)。これを5年間・365日・24時間運用した場合の電気料金に換算すると、約44万円の電気代が削減可能となります(※7)。
またブレードサーバでは、シャーシの冷却ファンを効率化することにより、消費電力削減を行っています。例えば、あるベンダーのブレードサーバでは、1台のファンで1Uのラックマウント型サーバ4台を冷却する性能を持っているものがあります。しかも、ファンの消費電力は、同一性能のファンと比較して66%も軽減されています。
消費電力が少ないということは、電気代はもちろんですが、必要ラック数の削減によるラックスペース代の削減や、発熱量を抑えることによる空調電気料金の削減も可能となるわけです。
※7 試算に基づく内容であり、実際の電力料金については電力会社との契約、機器の設置・利用状況などにより異なります。
表1 ブレードサーバと1Uラックマウントサーバにおける消費電力の比較
比較台数 | ブレードサーバ | 1Uラックマウントサーバ(W) | 消費電力が低いのは? | ||
サーバ・ブレード(W) | シャーシ(W) | 合計(W) | |||
2台 | 412 | 500 | 912 | 680 | ラックマウントサーバ |
3台 | 618 | 500 | 1118 | 1020 | ラックマウントサーバ |
4台 | 824 | 500 | 1324 | 1360 | ブレードサーバ |
10台 | 2,060 | 500 | 2560 | 3,400 | ブレードサーバ |