ここでは、実際にブレードサーバを選ぶ時に重要なポイントを紹介します。
導入目的を明確にする
最も大事なのは、「何のためにブレードサーバを導入するのか」ということです。例えば以下のように、ラックマウントサーバからブレードサーバへのリプレースを行う場合の目的を、パターン別に分けて考えてみます。
1.単純置き換え型
これは、「現在利用しているサーバがリースアップするので、ブレードサーバを使いたい」というケースです。リースアップするということは、数年前のマシンを使っているということになります。現在は、リース契約当時よりも性能が向上しているので、現状のサーバ台数を、そのままブレードサーバに置き換えられることも少なくありません。
また、必要数台数以上のサーバを搭載できるシャーシを用意し、今後予測される拡張分を追加できるようにしてみてもいいでしょう。
2.高密度型
これは、「現在利用しているデータセンタやサーバルームに空きスペースがなく、これ以上サーバを増やすことができないので、高密度のサーバが必要になった」というケースです。限られたスペースの中で、格納するサーバを増やすのですから、ブレードサーバが最も得意としているところです。
この場合、最初に置き換えを行うサーバ台数を格納できるシャーシを選びます。高密度になっているため、1ラックあたりの搭載数を多くすることがポイントになります。
3.省スペース型
これは、「仮想化ソフトを入れたブレードサーバを導入し、サーバの台数を削減したい」というケースです(※5)。
最近では、仮想化ソフトをブレードサーバに組み込み、物理サーバのスペースを減らそうとすることが多くなっています。省スペース化は、仮想化ソフトとブレードサーバのそれぞれが行えることなので、相乗効果があります。また、物理サーバと仮想サーバを同じインターフェースでシームレスに一元管理できる製品もあります。
※5 仮想化:言うまでもないかもしれませんが、仮想化とは、1台のコンピュータをあたかも複数台のコンピュータであるかのように論理的に分割し、それぞれ別のOSやアプリケーションソフトを動作させることを言います。
4.スケールアウト型(※6)
これは、「新規のサービスの立ち上げのためサーバが必要となった。ただ、サービス開始当初は、サーバ台数は
少なめにしたいが、サービスが拡大してきたら、サーバ台数を増やしていきたい」というケースです。
不特定多数の利用者を想定した商用Webサービスは、利用者の増え方が予測不可能なものが多いはずです。急激に利用者が増えて、すぐにサーバを増設しないといけないケースが発生することもあるでしょう。そんな時も、ブレードサーバならサーバブレードをシャーシの空きのスロットに挿し込むだけでいいので、増設作業がラクです。
※6 スケールアウト:スケールアウトとは、サーバの台数を増やすことによってシステム全体の処理性能を向上させることを言います。
ブレードサーバ選定の流れ
ブレードサーバを選定する際の実際の流れは以下のようになります。
1 必要なCPUパワーとサーバ数を概算してから、そのニーズにシャーシが対応できるかどうかをチェックします。また、シャーシに搭載するサーバブレード数も算出します。 2. シャーシに搭載するモジュールが対応しているかどうかをチェックします。例えば、ネットワークに接続するためのLANスイッチやSANスイッチなどは、収容方法がベンダーごとに違っていたりします。導入後に困ることがないよう、あらかじめ調べておきます。 3. 管理モジュールのチェックも必ず行っておくことが重要です。運用を開始してから「何ができるのか」について困ることがないよう、あらかじめ監視・管理する項目を決めておき、管理モジュールが対応していることを確認します。 4. ブレードサーバの機種や台数が決まったところで、そのサーバを設置するために必要なスペースの調査を行います。最大消費電力や重量などを調べ、設置するデータセンターやサーバルームの最大搭載量をもとに、ブレードサーバを設置するラックを決めます。
ブレードサーバ選びの注意点
ブレードサーバを選ぶ際の注意点としては、現在のところ、「ブレードサーバには統一の規格がない」ということです。コネクタの形状や仕様が各メーカー独自のものとなっていて互換性がないため、シャーシに他社のサーバブレードは搭載できません。また、同一メーカーのブレードサーバであっても、世代が異なったりモデルが異なったりすると互換性がなくなることがありますので、導入時には注意が必要です。