専用設計による排熱対策
ブレードサーバは、ラックマウントサーバと比べて高集積を実現できるのが最大のメリットですが、反面、熱ごもりしやすいというデメリットもあります。そのためブレードサーバでは排熱対策に力が入れられています。
例えば、ブレードサーバ用に開発された冷却ファンモジュールがあります。ブレードサーバ用の冷却ファンは、通常の1Uサーバのものよりもサイズを大きく作ることができるため、1台のファンで数台のサーバブレードを冷却できる能力がありながら、低消費電力のものが開発されています。
SANブートにより迅速な障害復旧が可能
SANブートとは、サーバの内蔵HDDからのOSブートではなく、SAN(※2)接続されたディスクアレイ装置からOSをブートを行う構成です(図2)。ファイバーチャネル(※3)ストレージにブートディスクを配置することで、サーバで障害が起きた時に、他のサーバに切り替えてOSを起動させることが可能です。つまり、これによって障害発生時に早期の復旧を行うことができるようになります。最近はSANブートとあわせてブレードサーバの導入に踏み切る企業も増えているようです。
※2 SAN(Storage Area Network):SANとは、ハードディスク装置や磁気テープ装置などのストレージとサーバなどのコンピュータを、ファイバーチャネルなどでネットワーク化したシステムのことを言います。膨大な量のデータファイルを保存・活用・一括管理するために使用されます。
※3 ファイバーチャネル:ファイバーチャネル(FC)とは、コンピュータと周辺機器間のデータ転送方式の1つです。ファイバーチャネルは銅線の光ファイバーケーブルで接続されていることが多く、主にストレージ・ネットワーク用に使用されています。
サーバの増設が簡単
シャーシにサーバブレードを追加するのはとても簡単です。
ラックマウントサーバだと、サーバ1台ごとにラックや電源ケーブルなどの設置・配線作業が発生するのですが、ブレードサーバの場合、サーバブレードをシャーシの空きスロット部分に挿し込むだけで増設できます(図3)。
運用管理の効率化が可能
ラックマウントサーバをブレードサーバに変えることで、ケーブル本数の削減による運用管理工数の低減が可能です。例えば、サーバ16台のラックマウント型サーバで必要なケーブル数が以下のように計96本だとします。
この場合、ブレードサーバでは以下のように計10本にケーブル数を減らすことができるので(約90%の削減)、メンテナンス効率が向上し、人的ミスや断線トラブルのリスクを低減させることができるというわけです。
*ラックマウントサーバ(各ケーブル冗長化) | |
LANケーブル | 32本 |
FCケーブル | 32本 |
電源 | 32本 |
合計 | 96本 |
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*ブレードサーバ(各ケーブル冗長化) | |
LANケーブル | 2本 |
FCケーブル | 2本 |
電源 | 4本 |
合計 | 10本 |
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電力の変換効率について
一般的なAC-DC電源モジュールの電力変換効率は70%程度で、性能が高いものでも80%程度と言われています。この電源モジュールは、サーバを構成する要素の中でも電力消費の大きな部品の1つです。それを共有化することで、電力消費を抑えることが可能になっています。
また、同じ電力量を供給する場合、少ない数の電源モジュールで供給した方が電力変換効率は高まります。