――今、技術開発の話が出ましたが、現在の開発体制はどのようになっているのでしょう。

開発は本社のある米国のほか、マレーシアのペナン、カナダのトロント、イギリスのロンドン郊外など世界各地、24時間体制で行っています。

日本には残念ながら開発拠点はありませんが、カスタマ・アドバイザリ・ボード(CAB)と呼ばれるカスタマと相互に情報共有する会議を実施することで、カスタマ側のエンジニアやシステム・アーキテクトと日本アルテラのエンジニアが対話を行い、目標とするものを共有するように努めています。これにより新たな製品の仕様なども決まることが多く、新製品の仕様の内40%程度は日本からの声が反映されたものとなっています。

例えば、2002年に登場したFPGA「Cyclone」も、日本のローコスト/ハイボリュームという要求が色濃く反映されたデバイスとなっています。

――それだけ日本市場を重要視しているわけですが、世界市場そして日本市場で狙う分野はどういったところなのでしょう。

主な分野としては、第1に通信機器の分野、医療機器を含む産業機器(FA)分野、そして複合機(MFP)の分野ですね。これは日本でもほぼ同様です。ただ、コンシューマ分野についても重要だと考えており、日本アルテラから提供できるものがあればどんどん提供していきたいと思っています。

通信機器分野を第1としたのは、日本は無線通信の分野、例えばLTEなどの次世代通信でも先行していますし、また有線分野でもデータ、放送、ビデオなどの融合が進んでいます。加えてNGNもサービスが立ち上がり、無線、有線問わずに、革新的なものを開発しており、そうした機器に採用されることを目指しています。

組み込みという観点では、FAや通信をメインの市場としています。元々FPGAが通信機器で使用される割合が高いという土台もあり、ニーズも存在しています。

特に、マイコンやプロセッサが担っていた部分をFPGAが置き換えるようになってきており、そうしたカスタマの動きに対し、エンベデッド・プロセッサ「Nios II」を提供するなどをして対応しています。

Nios IIには、評価キット「Nios II Embedded Evaluation Kit(NEEK)」が用意されていますが、これはソフトコア・プロセッサであるNios IIをあらかじめ実装したCyclone IIIとタッチスクリーンが可能なLCDなどを組み合わせたもので、さまざまなサンプルアプリケーションも用意されていることから、Nios IIの検証などが行えます。

また、タッチパネルのようなコントロール制御が可能なため、システム開発者が新たな刺激を得ることができ、これが元になって新しい製品が開発されることもあります。

特に、ロイヤリティフリーのため、海外ではNiosを用いたコンテストが開催されるほか、「Niosフォーラム」も開催されています。このフォーラムはユーザーが主体となって行っているもので、Alteraはフォーラムの管理と運営のみを手助けしているだけです。

このNEEK、Nios IIの評価だけではなく、プログラムによっては、パワーポイントで作ったプレゼンテーションを行うことも可能です。実際に、私も商談の際に使うこともあります。

さらに、Nios IIには、アクセラレーション・コンパイラ「Nios II C2H(C-to-Hardware)」が用意されており、負荷が大きいC言語によるプログラムをRTLとして吐き出すことで、FPGA内のハードウェア・アクセラレータに変換、高速処理を実現させることが可能となっています。