9月30日より開催されているCEATEC JAPAN 2008は、大きく「デジタルネットワーク ステージ」と「電子部品・デバイス&装置 ステージ」の2つに分かれる。電子部品・デバイス&装置 ステージにブースを出展している村田製作所のムラタセイコちゃんやタイコ エレクトロニクスのリニアモーターカーに関するレポートについては、大塚氏が行っているので、ここは同ステージ内の半導体ゾーンで見た製品・技術についてレポートすることとする。
とはいえ、今回のCEATECには、ルネサス テクノロジやNECエレクトロニクス、富士通マイクロエレクトロニクスといった日本の名だたる半導体メーカーの出展がないため、いささか全体的に小粒な印象を受けた。
水で発電する燃料電池
Hall 8の入り口付近にブースを構えるSTMicroelectronicsの日本法人であるSTマイクロエレクトロニクスでは、デジタルTV向けソリューションやMEMS技術、車載半導体技術などを展示していた。中でも、ブース入り口付近に置かれた燃料電池システムは同社の一押しとなっている。
マイクロ流体技術を利用したバイオMEMSによる医療向けソリューション(これでインシュリンの検査が可能となる) |
ワイド・ダイナミック・レンジCMOSセンサを用いることで、明暗が急に変わるような状況などでも映像情報を損失しないで済む(右側のLCDに映っているのが、同センサによる画像。非常に明るい照明も、逆に照明のない暗い部分も同時に映していることが分かる) |
同システムの特長は、一般的な燃料電池がメタノールや圧縮水素、液体水素などを用いて発電するのに対し、水を使って発電できるというところ。詳細は不明だが簡単にいうと、水素発生器で水から水素と酸素を分離させ、その水素を燃料として用いることができるらしい。「このため、安全に燃料電池を扱うことができる」(説明員)という。
また、発電効率を向上させるために、電力管理ユニット(EMU)などを用いてシステムで発生する熱などの管理を行っているとしており、現在は湿度についてはコントロールできていないが、最終的にはそうしたところまでコントロールしたいという。
発電効率については、「プロセスの進歩や薄膜形成時の均一性の向上などにより確実に向上している」(同)としており、2010年には2.5W 8cm3(20cm2)のモジュールを実現したいとしている。