約1時間強に渡って行われたパネルディスカッションの最後に、パネラー各氏から、コメントが寄せられた。
西氏は、「2000年10月の段階で、米ワシントンでは、政府調達局において、約15%をテレワークとしていた。ワシントンの交通渋滞を緩和させるための手段である。だが、車を使わないのでCO2が削減されたかというと、余った時間に、車で買い物やドライブに行っており、本当の意味でCO2削減にはなっていなかった。この事例からもわかるように、ライフスタイル、ワークスタイルを変えないと、環境負荷削減にはつながらない」と指摘。端谷氏は、「CO2の排出量は、業務部門と家庭部門で増えている。これを認識した上でテレワークを推進する必要がある。また、評価の共通化をしていかないと、企業における環境対策が進まない。こうしたベースの上で、ICTやそれによって提供されるサービスを導入すると、環境の観点からもメリットがあるということが浸透させたい」とした。
また、永木氏は、「地方の製造拠点などにおけるテレワークはなかなか進んでいなかった。それは、車通勤で10 - 30分で行けること、渋滞やラッシュなどの通勤苦がないためだ。しかし、都市は公共交通機関を利用しているため環境負荷が低いが、地方では自動車通勤のため、環境負荷が大きいということを知り、地方拠点におけるテレワーク推進のきっかけがみつかったような気がする。一方、一人がテレワークによって通勤をやめても、気持ちだけの成果であって、実際の成果にはなっていないのだからやらなくていい、というのではなくて、個人個人の力は小さいが、国全体として取り組んでいくことで、効果が出ることを訴えたい。できれば、ある1日は"みんなでテレワークしよう"と呼びかけ、それによって、その日の新幹線を1本減らすというように取り組めば、テレワークによる環境負荷削減の見える化ができるのではないか。ひとりひとりが、楽しみながら、エコに貢献していけるようにし、それを広めていくことで社会全体への貢献になる」などと語った。
また、主催者である総務省の藤本氏は、「クールアース・デーは、洞爺湖サミットが終わっても、2010年の6%削減目標に向けて、来年以降も展開されていくだろう。また、環境問題はさまざまな形で議論されていくはずである。このなかで、テレワークが環境にプラス効果をもたらすことを訴求できたらいいだろう。来年もクールアースにちなんだ取り組みをしたい。今回、環境を切り口にテレワーク週間を実施している。2週間あるので、企業のなかで広めていただきたい」と呼びかけた。
最後に三浦氏は、「福島県いわき市では、テレワーカーはエコワーカーであるという認識のもと、テレワークと環境が連動している。今日の話し合いのなかで、さまざまなツールが登場し、これからも評価方法が研究されていくことが期待できるのに加え、人の意識の変化も一緒に語られなくなはならないことを感じた。来年のセミナーまでにエコの問題について、我々が取り組めるかを考えていただきたい」と締めくくった。