総務省は7日、クールアース・デー記念テレワークセミナー「テレワークによる低炭素社会を目指して」を、東京・平河町のルポール麹町で開催した。政府が7月7日を「クールアース・デー」に設定したことにあわせて開催したもの。社団法人日本テレワーク協会が協力した。
会場には100人を超える参加者が集まり、低炭素社会の実現という観点からも注目されているテレワークに関して、また、日本が目指すべきワークスタイル、ライフスタイルについて、テレワークや環境に関する専門家が、さまざまな角度から考察する内容となった。
同セミナーの最終プログラムとして行われたパネルディスカッションでは、日本テレワーク協会主任研究員の三浦拓馬氏をコーディネータに、NTT 環境経営推進プロジェクトマネージャーの西史郎氏、富士通研究所 基盤技術研究所 環境技術研究部主任研究員 兼 富士通環境本部 環境企画統括部 統括部長付の端谷隆文氏、松下電器産業 e-Work推進室長の永木浩子氏、総務省 情報通信政策局 情報流通高度化推進室長の藤本昌彦氏がパネリストとして登壇。「テレワークなどのICTの利活用が実現する低炭素社会とワーク&バランス」をテーマに、参加者から提出された質問などに対して回答する形式で進められた。
最初に寄せられた質問は、「低炭素社会を実現するために、ワークスタイル、ライフスタイルの変革が必要であると考えるが、そのために、まず、なにをすべきか」というもの。
西史郎氏 |
西氏は、「その人自身の考え方、行動を変えるのが一番である。ICTやテレワークを導入すれば、環境負荷の削減につながると思っているのは間違い。実は、削減できていない事例も多い。これは、道具を用意しても、実行する人の意識が変わらないことに起因している。稟議書をペーパーレス化しても、控えを紙にコピーして持っている、という例がそれにあたる」と回答。端谷氏は、「交通経路を選択するときに、CO2や安全性などの指標を加えたら、どれを選択するのかという実験を社内で行った。単に選択させるだけでなく、CO2の地球が湯気を出しているイラストを載せて、気づきの実験をした。いまの段階では、まず気づきが必要である」と語った。
また、永木氏は「在宅勤務がしたいと思っていても、制度がないといけない。会社の受け皿として、在宅勤務を行える仕組みを用意するのが大前提である。だが、会社が用意しても、なかなか実行できない、ワークスタイルを変えられない人という人が大半というのが実態。テレワークによって、自分、社会、会社にとって、どんなWinをもたらすのかを理解してもらうべき」とした。
藤本氏は、「日本の企業は、環境自主行動計画を定めて、エネルギー指標の削減目標を立ててやっている。この中に、テレワークを行い従業員が通勤しなかった結果、CO2の削減につながったことを含めることができるといいだろう。そのためには、国際標準化することが最適である。ITUでは、排出削減の評価指標を国際標準化する動きを始めている。国際基準で、テレワークによる成果を環境負荷削減効果のなかに入れられるようになれば、テレワークが広がるのではないかと考えている」などとした。