タイムリミットが迫る中、残された選択肢は少ない
7月初旬にYahoo!株主総会が予定されており、委任状争奪戦を経て現状のYahoo!経営陣が現状のまま会社のコントロールを握っていられるタイムリミットはここまでになる。前述のように高値で持ち株を売り抜けたい他の株主がIcahn氏の提案に乗る可能性は高く、正面からYahoo!経営陣が勝負して勝てる公算は少ないとみる。一方でMicrosoftはポイズンピル的に作用するYahoo!-Googleの提携を牽制しており、Yahoo!が現状で一方的にGoogleとの提携を推し進めるのは難しい状況となった。残された選択肢とは、何らかの形でMicrosoftとYahoo!が提携または資産の一部売却に同意することだけだ。
Yahoo!がMicrosoftによる買収を望まない場合、(1)の選択肢が最も有力となる。(2)の提携も考えられるが、可能性としては低いだろう。AOLはすでにGoogleとの提携を進めており、ポジションとしても微妙だ。(3)はMS-Yahooの関係が進展したときのGoogleとの対抗手段であり、いま現在の両社が考えることではない。結果としてYahoo!が選べる選択肢は、
- このまま委任状争奪戦に突入、Yahoo!役員全員解任後にMicrosoftによる買収
- Microsoftとの提携を進め、株主らを交えて折衷案を探る
という、ほぼ2つに限定される。ただし後者のケースでIcahn氏を説得できる確率はかなり低いとみられ、時間切れで前者の役員解任後に買収パターンに落ち着く可能性のほうが高い。委任状争奪戦前にYang氏ら現行の経営陣が諦めて買収に応じるパターンも考えられるが、いずれにせよどの段階で買収に合意するかの違いでしかない。残されたタイムリミットは1カ月半。すべてはYang氏らYahoo!経営陣の判断にかかっている。