(1) MS-Yahooで検索ビジネスのジョイントベンチャーを設立

同記事中で最も一般的なアイデアとして挙げられているのがこれだ。Yahoo!の独立性を保ち、かつGoogleへの対抗を可能にする一挙両得な数少ない手段の1つだ。Yahoo!とGoogleの提携は検索/広告ビジネスにおけるシェアの90%を獲得するもので、これは独占禁止法違反として米司法省(DOJ)のターゲットとされる可能性が高い。Yahoo!としても一定の独立性を維持するためにはGoogleともつかず離れずの関係にいることがベストなため、これは有力な選択肢の1つとなる。提携内容によってはYahoo!株価の問題もクリアできるため、Icahn氏ら株主を説得できれば既存の問題をクリアできる可能性もある。

(2) "三本の矢"でGoogleと対抗

MS-Yahooだけで心許ないなら、さらなる援軍を呼べばいい。二本の矢では折れやすくても、三本の矢なら折れにくく強力になる。検索/広告市場で第4の勢力として最大手の一角に名を連ねるAOLを混ぜて、MS-Yahoo-AOLの3大連合を構成するのがこのアイデアだ。AOLの親会社である米Time WarnerはすでにYahoo!との提携交渉を進めており、ジョイントベンチャー設立にあたってYahoo!の20%の株式を持つことを提案しているといわれる。

(3) 億万長者Mark Cuban氏の提案

先日、Icahn氏がYahoo!委任状争奪戦参入の際に発表した新役員候補10人で構成されるドリームチームにも名を連ねるMark Cuban氏。そのCuban氏が自身のブログサイト「Blog Maverick」での投稿エントリ「Beating Google ?」の中で述べているアイデアだ。

サービスを強化して広告主を呼び込むのではなく、現在Googleに出稿している広告主(いわゆる誘導先のサイトの持ち主)らに直接資金を提供して、出稿先をGoogleからMS-Yahooの連合軍(投稿の中では「MicroHoo」の名称で呼ばれている)にスイッチしてもらうのだ。

同氏の試算によれば、検索広告での検索タームの組み合わせは約2万5,000種類であり(手動検索サイトMaholo.comのデータを基にしている)、そのうちのトップ5の広告主をターゲットにすれば、トータルで12万5,000のサイトが市場における主要広告主であるという。

実際にはサイトの重複があるため10万サイト未満と判断し、1サイトあたりの買収金額を1,000ドル(約10万円)と見積もれば、金額全体は10億ドル程度になるという(1,000ドル×10万=1億ドルだが、これはこの際突っ込まないでおく)。10億ドルでGoogleの検索広告を丸ごと買収してしまおうというアイデアだが、実際には移行の過程で投資以上の効果が出るため、そのまま支払い分を相殺できてしまうというのが同氏の意見だ。MicrosoftによるYahoo!買収が成立しなかったとしても、委任状争奪戦後にYahoo!役員として同氏がこのアイデアを実践していく可能性もある。