顧客の業務スタイルに合わせた販売管理ツールを

ステップワイズ代表取締役 長谷川誠氏

「ITベンチャー支援プログラムを通じて得られるものをすべて吸収し、会社を次のステージへ引き上げたい」。そう語るのはステップワイズ代表取締役 長谷川誠氏。支援対象事業である「販管Pro/販管Pro for ASP」のビジネス化を図りつつも、新たな事業展開も視野に入れているという。

「販管Pro/販管Pro for ASP」は、中小規模事業者を対象とした販売管理システムだ。市販の汎用販売管理ツールとは異なり、業種・業態に応じてカスタマイズした販売管理システムを提供できる点が特徴。ネイティブアプリケーションとしても提供するが、メインは「ASP.NETを利用した、SaaS(Software as a Service)型サービス」(長谷川氏)。Ajaxの採用でWindowsと同様の操作性を実現し、Webブラウザ上で見積もりや受注、売り上げ、在庫管理、伝票作成などを行なえるようにする。

長谷川氏は「会計や販売管理ツールの不便さについて相談を受けることが多かった」と、「販管Pro/販管Pro for ASP」の開発背景について説明する。業務スタイルに合わない機能や非効率的なデータの入出力処理などに不満を持ちながらも、やむを得ずツール側の仕様に合わせて業務を行なっている企業は珍しくないという。「営業担当者たちが、いかに苦労して業務を進めているかがわかった」(同氏)。「販管Pro/販管Pro for ASP」はそんな企業ニーズに応えるものだ。アドイン形式による必要な機能のみの提供、現場の要望に応じた"使いやすい"入出力インタフェースの提供、企業ごとに異なる専用伝票への対応などによって、販売管理システムの導入コストの低減と業務の効率化を実現する。

「販管Pro/販管Pro for ASP」のインタフェース例

MSの支援を通じてプロジェクト管理のノウハウ吸収

マイクロソフトにはSaaS型サービスを提供するうえでのサーバ運用やリモートサポートなどの技術支援を求める一方、「プロジェクト管理、ドキュメント管理といったノウハウも吸収したい」と長谷川氏は狙いを語る。

同社はこれまで受託案件を中心に「個人スキルに頼った開発体制」(同氏)を敷いてきた。創業から3年を経た今、「今後は、開発者各自の動きを把握し、会社組織としての製品開発を考えていかなければならない」(同氏)。マイクロソフトにはWindows SharePoint関連製品を利用したプロジェクト・ドキュメント管理ソリューションがあり、その運用ノウハウを業務に活かしたいというわけだ。適切な管理体制の整備は、取引先企業に対して同社の信頼性をアピールできるだけでなく、「同様の運用ノウハウを、他の企業にソリューションとして提供できるようになる」(同氏)。グローバル化する開発現場では、人材の流動や外国人技術者の増加にともない、プロジェクトを動かすにも過去にはなかった苦労がともなうようになった。1年間の支援プログラムを活用し、ソフトウェア開発現場を支援する新たなソリューションビジネスにもつなげていきたい考えだ。

当面は「販管Pro/販管Pro for ASP」の開発に注力する。元となるシステムは昨年11月に開発されており、現在はVisual Studioでの焼き直し作業中だ。リリースは5月前後を予定し、すでに数社の導入先が決まるなど順調な滑り出しを見せている。長谷川氏は今後の事業展開について、「(販管Pro/販管Pro for ASPで)販売管理のプラットフォームを確立し、業務システムのポータル企業を目指したい」と意気込みを語った。