ITベンチャー育成に取り組む愛知県から3社が選出

香川県福井県と続いた2008年度「マイクロソフト ITベンチャー支援プログラム」における選定企業の紹介レポートだが、続いて愛知県のケースを紹介しよう。同県はマイクロソフトと協働する以前からベンチャー育成に積極的に取り組んでおり、今回は愛知県のサポート体制下で事業を進めてきた3社が支援対象企業に選ばれた。選定企業と事業概要については下記のとおり。

ITベンチャー支援プログラムの選定企業各社代表。左からマジックチューブ代表 向井真人氏、ステップワイズ代表取締役 長谷川誠氏、コムテクノロジー研究所代表取締役 石川英司氏

  • 株式会社ステップワイズ(代表取締役 長谷川誠)……中小企業をターゲットにした販売管理システム「販管Pro/販管Pro for ASP」。パッケージのセミカスタマイズ化により、様々な業種・業態に対応、Webシステムとの連携を視野に入れたソリューション
  • マジックチューブ(代表 向井真人)……組み込みPC「Xbit」を使ったデータ収集システムの開発。テレビ中継システムや体力測定器と連動した健康管理システムなどのソリューション
  • 株式会社コムテクノロジー研究所(代表取締役 石川英司)……歯科分野で利用してきた3次元計測技術(デジタルカメラで撮影した被写体の立体的なサイズ情報を計測)を他の医療分野や工業分野へ展開

愛知県は県下にトヨタ自動車を抱え、製造品出荷額全国1位を30年連続で維持している"ものづくり大国"。その一方で次世代産業の育成も重視し、ITベンチャーの支援制度を整備してきた。今回の選定企業3社は、その政策の一環である「あいちベンチャーハウス」の出身または在籍中の企業だ。同施設は創業5年未満のIT起業家の育成施設として、低賃料で事務所を提供するほか、常駐のインキュベーションマネージャが入居企業の経営相談に当たるなど、若き起業家に多面的なサポートを提供している。

神田真秋 愛知県知事

ITベンチャー支援プログラムには県と企業が共同で取り組み、「事業モデルと、なぜマイクロソフトの支援が必要なのかを明確にするよう(応募企業に対して)指導してきた」(同県産業労働部新産業課 主任主査・次世代産業育成グループ 渡邉宗徳氏)。県が担当する1次選考では応募8社のうち4社を選定。マイクロソフトによる最終審査では3社が選定企業、1社が準選定企業に選ばれた。マイクロソフト 公共インダストリー統括本部 プログラム&マーケティング部 今井美枝子氏が「愛知県の選定3社は、ビジョンが非常に明確だった」と語るように、県を挙げたITベンチャーのバックアップ体制が実を結んだ形だ。

2月22日に愛知県公館で行なわれた同プログラム認定証授与式で神田真秋 同県知事は、「(愛知県は)ものづくり大国のポジションに甘んじることなく、未来への挑戦としてIT産業は重要な政策ターゲットと考えてきた。(そのために立ち上げた)あいちベンチャーハウスを拠点とした人たちが認定されたことは喜ばしい。今回の認定をステップに、誇りと自信を持って前向きに取り組んでほしい」とエールを送った。

授与式には、4月1日付けでマイクロソフト社長就任が内定している樋口泰行 代表執行役兼最高執行責任者らも出席した(右から3人目)