ECサイト市場に第2の投資ブーム

ECサイト業界の発展に弾みをつけたのは、今をときめくアリババ、であった。2007年のアリババの香港株式市場への上場、そして、国内検索エンジン最大手である百度が同業界へ参入したことが、中国のECサイト市場の低迷した雰囲気を一掃したのである。2008年には本格的なECサイトの産業チェーンを形成し、インターネットビジネスの主役の座に躍り出て、ベンチャー投資が集中する可能性が高い。

ベンチャー投資の研究を行っている創業投資研究機構は最近、同機構の機関誌である「投資中国」誌上で、「2007年中国電子商取引業界投資価値研究レポート」を発表した。同レポートによると、2007年中に中国のECサイト業界の投資総額が1億ドル(約108億円)を上回った上、投資件数も最高記録を更新し、15件となった。こうした動きは、ECサイト業界が「第2の投資ブーム」を迎えつつあることを示している。

育児用品のネット販売を展開する北京紅孩子情報技術は、タイ、韓国、香港など投資対象・地域の異なる5本のファンドからなるオーロラファンドや、全米最大規模のベンチャー 投資ファンドであるNEA(New Enterprise Associate)などの著名な投資ファンドから3度にわたり、計1,000万ドル(約10億8,000万円)を超える資金を獲得した。

実際の店舗を設けず、通信販売とネット直販だけでワイシャツを販売するPPGも、昨年シリコンバレーに本拠を置く米国のベンチャーキャピタルであるKleiner,Perkins,Caufield&Byers(KPCB)をはじめとする投資会社から数千万ドルに上る投資資金を得た。家電、携帯電話などの通信機器、コンピュータの中国最大規模のECサイトを運営する360buy京東ショッピングも、中国・上海に拠点を置くベンチャーキャピタルCapitalTodayから1,000万ドル(約10億8,000万円)の資金を得ている。

ここで注目しておきたいのは、これら企業のほとんどが、利潤が出た上で資金を得ていることである。専門家はこれまで電子商取引が低迷していた主な原因を、インターネットでの消費ニーズが不十分で、単純なオンライン業務を取り扱ってきた各社には利潤が出にくかったとしてきた。しかし今や、状況は大きく変わりつつある。