SNSの成長には"比例タイプ"と"反比例タイプ"

では盛り上がっているSNSの成長過程にはどのような特徴があるのだろうか。この点についてソネットエンタテインメントは先頃、分析結果を発表した。分析を担当した千輝氏はSNSの成長パターンを4種類の成長曲線、「開幕ダッシュ型(比例タイプ)」「開幕ダッシュ型(反比例タイプ)」「高成長型」「スロースターター型」に分類できると説明する。今回は「開幕ダッシュ型」のSNSを例に、盛り上がっていく過程について話を伺った。

「SNS成長曲線」のポジショニングマップ

開幕ダッシュ型(比例タイプ)

開幕ダッシュ型(反比例タイプ)

初速のユーザー数とアクティブユーザー数が平行して急伸、下落傾向もあるが下落幅は小さい。その後は徐々に比例で推移

初速は比例タイプと同様に急伸するが、徐々に下落傾向に転じる

スロースターター型

高成長型

開設当初から緩やかにユーザー数が増加。極端な伸びは見せないが、堅実な盛り上がりを見せる。アクティブユーザー数は固定傾向にある

開設当初からユーザー、アクティブユーザーともに伸び続ける。早い時期にオープン制から招待制に移行し、さらに成長する傾向を見せる

青い線:ユーザー数、赤い線:アクティブユーザー数。調査期間:2007年6月~9月/抽出したSNS開設数:18,000の開設SNS のなかから、アクティブに稼動する約1,500のSNSを抽出/抽出基準:ユーザー数は7人以上、開設から60日以上生存しているSNS

開幕ダッシュ型は、文字どおり開設当初にユーザー数とアクティブユーザー数が急増するSNSを指す。こだわりのある趣味や興味がテーマの場合は、その多くが最初はオープン制から開始し、掲示板など既存コミュニティからのユーザー流入を図る導線を設ける傾向にある。しかし、千輝氏は、開幕ダッシュ型には「比例タイプ」と「反比例タイプ」が存在すると説明する。

ユーザー数の伸びと共にアクティブユーザー数も増えるのが比例タイプ、逆に徐々に減っていくのが反比例タイプだ。比例と反比例、どちらに向かうかをわける要因は、参加ユーザーたちの「平均フレンド数」だという。

両タイプとも、開設初期の動きは同じだ。新規登録者によってアクティブユーザー数が増加し、一段落した段階で必ず下落局面に陥る。ただ、その後の動きが異なる。比例タイプの傾向を見ると、平均フレンド数が多く、ユーザー同士のつながりが強い。その結果、SNS自体に対する関わり合いが強く維持され、次第にアクティブユーザー数の増加につながっていく。つまり、人と人とのつながりが形成されてフレンド関係の密度が高くなると、比例タイプになるという図式が成立するのだ。

SNSがどちらのタイプに向かっているかを知るためには、平均フレンド数の推移を把握していくことが重要となる。ただし、反比例タイプになると必ずアクティブユーザー数が低下し続けるというわけではない。イベントを行うなど参加者のつながりを強める施策によって復活した例もあるという。

開幕ダッシュ型「比例タイプ」と「反比例タイプ」の違い
比例タイプ 反比例タイプ
アクティブユーザー 同程度で推移、もしくは増加傾向 減少傾向
1日1人あたりの書き込み数 0.6件 0.2件
オフ会の実施 多い 少ない
平均フレンド数 11.96人 4.19人