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高齢化社会における新しいコミュニケーション
3人目は、幅広い介護・福祉データに携わり、高齢化社会に向けた取り組みを続けてきた福島さんのお話を聞いていきたい。
──福島さんが携わっている仕事についてお聞かせください
福島さん |
入社してから6年にわたり介護・福祉データに関わってきたなかで感じることが1つありまして、それは「高齢化がなにか悪いことのように言われる状況がくやしい」ということです。日本では「健康に長生きしている人が多い」という素晴らしい状況を「高齢化」と呼ぶことでマイナスイメージになっていることが残念です。 介護や医療は、鉄道や電気、水道ほど直接的ではないものの、一種のインフラと捉えることができます。インフラが成熟するというのは、社会全体が向上するということにもつながります。インフラを支えるという事は当社のビジョンでもありますので、誇りをもってやっています。 しかし、介護・福祉領域のデータは現在のところ、“有効活用"という領域まで到達していません。「現状をデータで表現する」ところまでは厚労省の公表データとして参照できるのですが、改善点や今後の展望が明確になっているとはいい難い状況にあります。この状況を変えることが目下のミッションです。これが実現できれば、介護が必要とされている高齢者のみなさまがより快適にすごせるようになると考えています。 |
──社員のエンゲージメント向上を目指す「みんなのDX」や「ピアボーナス」といった社内での取り組みに参画したとのことですが感想をお聞かせください
福島さん |
「みんなのDX(デジタルトランスフォーメーション)」(※3)は社員がDXのアイデアを出し合う場で、私は第2回目に参加しました。いまは「みんなのDX」から生まれたアイデアを実現させるための仕組みもありますし、事業化している事例も出てきていますので、良いアイデアが生まれるプラットフォームになりつつあると感じています。「みんなのDX」を通して、「ビジネスを考える」というマインドセットが会社の中に浸透したというのは確かだと思います。 |
※3みんなのDX
東芝社内で行われているデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組み。デジタルビジネス創出・デジタル文化実装を目的としたピッチ大会で、2019年2月から2021年3月までに3回開催、100を超える応募アイデアの中から50近くの事業のタネを発掘している。
福島さん |
「ピアボーナス」は社員同士が互いにボーナスポイントを贈りあう仕組みです。(※4) ありがたいことに、前回の期ではピアボーナスを出す、受け取るという機会が多く、表彰をいただきました。私はこれを「ありがとうのプラットフォーム」と呼んでいます。受け取るほうも出すほうもうれしい、そして普段かかわりが少ない人たちとつながりを得ることができるこの仕組みは、素晴らしいものだと思います。 |
※4ピアボーナス
社員同士が互いにボーナスポイントを贈りあう仕組み。東芝デジタルソリューションズでは、仕事に対する評価や貢献、感謝などをポイントやメッセージの形で送信し、社内SNSで共有している。仲間の従業員がいいね!をするなど、社内コミュニケーションの場となっている。
──介護・福祉関連の仕事を通じて、今後取り組んでいきたいことは?
福島さん |
現在、介護・福祉領域のデータの有効活用を目指していますが、利便性の高い技術はどんどん出てきますので、常に次の技術へとシフトしていかなければならないだろうと思っています。私自身の仕事はいま「データ1.0」といえますが、先ほどお話ししたミッションの実現ができたら、次は介護現場のロボットなどのハードウェアとも組み合わせてより良い世界を作っていくような仕事を「データ2.0」として取り組んでいきたいですね。 |
──福島さんが携わっている領域について、島田さんからのコメントをいただけますか?
島田さん |
いま「ピアボーナス」で“ありがとう”を送っておきましたよ(笑)。組織をつなぐ人は大切です。自分の仕事をするだけでなく、周りを見て新たな価値をつないでいくのは非常に良いことだと思います。 私は「Give & Giveの精神」と呼んでいるのですが、見返りを期待して何かを言うのではなく、単純に相手に「ありがとう」を言う楽しさ、これを体験してもらえるとSDGsに近づくのではないかと思います。 また、「高齢者の世界は悪いことじゃない」という意見もその通りだと思います。若者はバネ、高齢者はダンパーみたいなもので、高齢者はダンピングエフェクトとして社会に安定を与えているのではないかと。高齢者の方が幸せに暮らしていける社会を作ることは平和にもつながります。福島さん、頑張ってください。 |