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社会課題の解決に向けたAIの可能性

ここからは、各方面で活躍する東芝社員の方々にお話を伺っていく。1人目は、2019年に東芝に入社した新人社員である伊部さん。伊部さんは、大学で日本語から英語の機械翻訳の研究を行い、現在はAI OCRの研究開発に携わっている。

──伊部さんが携わっている仕事についてお聞かせください


伊部さん

東芝では光学的文字認識(OCR)に関する研究を40~50年以上続けていますが、AIを文字認識に適用すると精度が格段に上がり、これまで読めなかった雑な手書き文字なども読めるようになることがわかりました。これをクラウドサービスとして利用できるようにしたのが、私たちが開発している「AI OCR文字認識サービス」(※1)です。


伊部さん

AI OCRを活用し紙書類を電子化することによって、これまで紙でしか共有できなかった情報をデータとして貯えられるようになり、そのデータ同士をつなげることが可能になります。これはAI OCRの大きなメリットと言えます。AI OCRを通じて「データがつながる世界」、「SDGsが目指す世界」の実現に貢献していきたいと思います。

※1AI OCR文字認識サービス

東芝デジタルソリューションズが提供する「文字認識クラウドサービス」の中の1つ。東芝が持つ50年以上のOCR技術のノウハウにディープラーニング技術を融合させることで、非定型な伝票・申込書などの読み取り、手書き文字の高度な認識を実現している。

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──伊部さんは東芝の「AI技術者教育プログラム」を受けられ、最終課題発表で最優秀の成果を収めたと聞きました。人材育成という視点で、どのような価値を感じられましたか?


伊部さん

東芝のAI技術者教育プログラムは、東芝グループ内各社の分野が異なる技術者が参加していました。普段の仕事でAIを活用していない方でも、AI研修で素晴らしい成果を上げていました。参加する中で、東芝が抱える人材のポテンシャルの高さに感動しました。

最近、ニュースなどを見ていると、AIという言葉が一人歩きしていると常々感じています。AIは万能ではありません。AIを使ってできること、できないことを見極めながら、社会のさまざまな課題の解決に使っていければと思っています。

──AI OCRの技術によって社会にどのように貢献していきたいと考えていますか?


伊部さん

AI OCRが普及すれば、申込書類に書かれた住所や名前などの手書き文字を入力する、書類を目で確認して分類するといった作業を減らし、業務の効率化が実現できます。

また、紙媒体の情報をデジタルデータ化することで、検索することが可能になり、さらに簡単に共有することもできるようになります。このデータを活用することによって、新たな知見も生まれるでしょう。AI OCRの活用を進めて「データがつながる世界」を創出することで、社会に貢献していきたいと思います。

AIを用いたテキストデータ解析は、最近急激に精度が向上しており、非常に注目を集めているテーマです。私の専門はテキストデータを解析する技術である「自然言語処理」ですので、将来は、この技術を活かし、SDGsに貢献できるような仕事をしていきたいと思います。

──伊部さんが携わっている仕事について、島田さんからコメントをいただけますか?


島田さん

AI OCRは、東芝が長い間取り組んできたOCRの歴史を引き継ぐものです。手書きの文字などをデジタルデータ化しつなげることも「サイバーフィジカルテクノロジー」の一部といえるでしょう。社会に貢献できる技術の発展に向けて、今後もぜひ頑張っていただきたいなと思います。