「カシオのアナログ時計って、中身(ムーブメント)はどのメーカーから仕入れているの?」
仕事柄、いまだにそんな質問をされることが(ごくごく稀ながら)あります。
おそらくは「デジタルはカシオ」のキャッチフレーズやG-SHOCKデジタルモデルのイメージから、アナログ時計のムーブメントは他社製に違いないと思い込まれているのでしょう。でも、今ではカシオの時計ラインナップにも、アナログモデルやアナログ&デジタルコンビネーションモデルが増えています。
そして、これらに搭載されている高機能アナログムーブメントは100%自社生産。カシオは、歯車ひとつから射出成型する、正真正銘のマニュファクチュール(ムーブメントから自社一貫製造する時計メーカー)なのです。
というわけで、東北新幹線に乗ってやってきたのは、山形県東根市にあるカシオのマザー工場「山形カシオ株式会社」。4月に竣工した新棟(新生産棟)が養生運転期間を終え、この夏から本格稼働に入ったばかりです。山形カシオの概要や業務内容については、以前お届けしたレポート記事(下記)でご確認いただくとして、今回は新棟の見どころをメインにご紹介します。
山形カシオ 時計統轄部長 土田啓一氏によれば、新棟は以下4点のこだわりをもとに設計・建造されているといいます。
- 時計製品を一貫生産する時計専用の生産棟
- 部品製造(成型・塗装・蒸着・印刷など)~製品組立までの製造工程を集約
- 高性能クリーンルーム空調システム&出戻りのない動線による無塵空間の追求
- 自家発電装置と床免震設計による災害リスク対策
つまり、カシオの腕時計製品で使用されるムーブメントは(一部の例外を除いて)すべて山形カシオで部品レベルから一貫生産されているのです。生産されたムーブメントや部品(外装や針など)は、海外を含むカシオの各生産拠点に運ばれて組み立てられます。
ただし、G-SHOCKでは「MR-G」と「MT-G」、OCEANUSではシリーズ全製品、PRO TREKでは「MANASLU」のみ、ここ山形カシオの「PPL」(Premium Production Line)において、特別に高度な技能を持つスタッフの手によって組み立てられています。
いよいよ生産ラインの中に入ってみましょう!!