Mini-ITXサイズながらも、フラグシップCPUを搭載可能

続いて、「H170FD-MINI」のスペックを確認していきたい。モデル名から確認できる通り、本機に搭載されているチップセットはIntelのH170 Expressだ。マザーボードにはMini-ITXサイズのMSI「H170I PRO AC」が採用されている。無線LANとBluetoothを標準で搭載しているため、パーツを追加をせずとも無線LANやワイヤレスキーボード/マウスなどをすぐに使用可能だ。CPUは標準構成ではIntel Core i5-6500だが、試用機ではSkylake世代のフラグシップである「Core i7-6700K」が搭載されていた。Mini-ITXサイズながらもBTOカスタマイズでハイエンドCPUを選択できるのは、本機の高い冷却性能のおかげだろう。

CPU-Zで確認したCore i7-6700K。ターボ・ブースト機能利用時4.2GHzという高い動作クロックが特徴だ

メモリも標準構成ではメジャーチップ・6層基板を採用したDDR4-2133 4GB×2枚だが、試用機ではCorsair製のVENGEANCE LPX 8GB×2枚が搭載されていた。このほか、BTOカスタマイズにて1枚当たり16GBという大容量のメモリも選択が可能だ。

試用機に搭載されていたCorsair VENGEANCE LPX。チップはブラックのヒートシンクで覆われている

CPU-Zで見たCorsair VENGEANCE LPX 8GBメモリ。一般的なDDR4-2133メモリよりも低レイテンシで動作する

オンボードからGTX 1080まで幅広く選択できるGPU

グラフィックスカードには、標準構成でNVIDIA GeForce GTX 960を搭載。ASUSのゲーマー向けブランド「STRIX」の製品が採用されている。2つのファンでGPUを冷却するこの製品は、性能と同時に静音性にも注力されており、本機にピッタリのグラフィックスカードといえるだろう。なお、5月27日に発売され、6月初旬現在も品薄が続いているNVIDIAの新世代フラグシップGPU「GeForce GTX 1080」もBTOカスタマイズから選択可能だ。発売されたばかりで高価な製品ではあるが、最強の性能を備えた小型PCを目指す人はぜひ選択してみてほしい。

グラフィックスカードには、ASUS「STRIX-GTX960-DC2OC-4GD5」を搭載。性能と静音性を両立させている

GPU-Zで確認したASUS「STRIX-GTX960-DC2OC-4GD5」。標準でオーバークロックが施されている

発売されたばかりのPascal世代GPU「GeForce GTX 1080」もBTOカスタマイズから選択が可能

ストレージは、標準では500GBのHDDとなるが、試用機ではSSDとHDDのデュアルドライブ構成となっていた。メインドライブに使用されているSSDは、CrucialのMX200シリーズとなり、容量は250GB。データドライブとなるHDDは、Western DigitalのWD10EZRXで、容量は1TBだ。SSDは体感速度を大きく引き上げるため、予算に余裕があればぜひ導入を検討したい。「CrystalDiskMark 5.1.2」にてそれぞれの速度を計測したので、参考にしてほしい。

「CrystalDiskMark 5.1.2」で計測したSSD「Crucial MX200 250GB」の速度

「CrystalDiskMark 5.1.2」で計測したHDD「Western Digital WD10EZRX 1TB」の速度

次ページではベンチマークテストを行うが、その前に騒音値について触れておこう。静音に特化した「Silent-Master」シリーズには一歩及ばないものの、本機の静音性も非常に高い。実際にリアから10cmの位置に簡易騒音計を置き、「3DMark」実行時の数値を測定したところ、そのレベルは37.9dBとなった。ケースの背が低いため、ファン直下という非常に耳障りな位置に簡易騒音計を置いてもこの数値だ。通常使用ではファンの音はほとんど気にならない。もし実機に触れる機会があったら、ぜひファンの騒音に耳を傾けてみてほしい。ほかのデスクトップPCとは一線を画す、サイコムの静粛性へのこだわりを感じることができるだろう。

簡易騒音計を使ってケースのリアファン直下10cmの距離で計測。PCに電源を投入する前の周囲のレベルは31.2dB、「3DMark」を実行した際のレベルは37.9dBとなった