必要なパーツも工程も少なく、誰にでも「自作」できるのがBRIX

底面の四隅に滑り止めのゴム脚があり、この部分のネジを外すことで底面パネルを取り外すことができる。底面パネルの裏には2.5インチSSD/HDD用のストレージベイを備える。9.5mm厚までのHDDやSSDを搭載できる。

上部は控えめなGIGABYTEロゴと対角に電源ボタンを搭載。表面はヘアライン加工が施されており美しい

底面の四隅にはゴム脚があり、それぞれ1本ずつネジがある。ゴム脚によってネジの存在をさりげなく目立たなくしている

BRIXは、底面を開けるだけで内部にアクセスでき、装着が必要な部品もこの状態で全て取り付けることができるよう設計されている。内部には、DDR4-SODIMMメモリスロットを2基、2280サイズのM.2スロットを1基、そしてSATA 3.0+SATA電源端子がケーブルから伸びている。

BRIXはプラスドライバーでネジ4本を緩めるだけで簡単に内部にアクセスできる

底面の蓋の裏は2.5インチシャドーベイ。入手が簡単な2.5インチSSD/HDDを使えるのは大きなメリット。ドライブは4つのネジを締めるだけ

そのほかに2232サイズのM.2スロットもあるが、ここには無線LANカードが装着済みだ。装着されているのはIntel Dual Band Wireless-AC 3165。IEEE802.11a/b/g/n/ac対応の無線LANカードで、最大433Mbpsに対応している。

内部には、SODIMMスロット2基、2280サイズのM.2スロット、SATA 3.0ポートと、PCとして必要な一通りの端子が揃っている

ケースから取り外すことも可能だが、スロット類が配置されている方とは逆の側は、主にCPUなどが搭載されているだけでユーザーが手を加える箇所はない。CPUクーラーはブロワータイプで、1スロットのビデオカードなどで採用されているものに近い。ほか、BRIX印のチョークコイルなどが見られる

用途やコストパフォーマンスで使うパーツを自由に選べる

さて、BRIXに必要なパーツをまとめておこう。メモリは先の通りDDR4-SODIMM。前述の通り、2基のメモリスロットがあるので、パフォーマンスを引き出すためにもメモリを2本用意しておこう。今回はセンチュリーマイクロの「CD16G-SOD4U2133」を用意した。規格はPC4-17000(DDR4-2133)で、容量は8GB×2枚のデュアルチャネルキットだ。

本体と必要なハードウェアの一覧。うち、M.2 SSDと2.5インチSSDはどちらか一方でもよい

なお、今回はDDR4-SODIMMをサポートしたGB-BSi7HT-6500をレビューしているが、DDR3L-SODIMM対応でCore i7-6500Uを搭載した「GB-BSi7H-6500」も存在する。DDR3L-SODIMMだと若干価格が安い反面、動作クロックが1600MHzに抑えられるので、パフォーマンス、特にグラフィックスパフォーマンスの面で不利となる。

ここはコストとパフォーマンスのどちらをとるかで判断したいが、DDR3L-SODIMMとDDR4-SODIMMの価格差も小さくなってきていることもあり、これから組むならDDR4-SODIMMの方がメリットが大きいだろう。

ストレージは、M.2 SSDと2.5インチSSD/HDDが搭載できるが、用途に応じてどちらか一方、あるいは両方搭載といった形で選択すると良い。2.5インチSSD/HDD側は、大容量ストレージが必要になったらあとから追加するのもよい。

今回、M.2 SSDとして用意したのはSamsungの「MZHPU128HCGM」。「XP941」シリーズの128GBモデルで、いまとなってはやや古いモデルだが、PCI Express 2.0 x4接続をサポートしており、Serial ATA 3.0接続のSSDよりは性能を引き出せる。現在ならば、PCI Express 3.0 x4接続のM.2 SSDも増えてきているので、より高いパフォーマンスを求める方はそちらを検討してほしい。コスト的なメリットを求める場合は、容量単価が低いSATA 3.0接続のM.2 SSDでもよいだろう。

容量に関しては、128GBは最低ラインだ。OSインストール後は、80GBほどの空き容量となる計算だが、ある程度の空き容量を確保してしたいと考えるとかなり窮屈だ。PCもスマートフォンも同様だが、空き容量の少ないと、いざ新しいアプリケーションをインストールしたり、写真や音楽などのデータを保存するときに困ることがる。可能なら240GBクラス以上を狙いたいところだ。

ただ、データドライブとして考えるならば、2.5インチストレージの方が、コストパフォーマンスも入手製も格段によい、高速だがコスト高になりがちなM.2 SSDをシステムドライブに、低価格で大容量の2.5インチSSD/HDDをデータドライブとして利用するのがいいだろう。この点でM.2と2.5インチの両方を搭載できるBRIXsシリーズは拡張性という意味でメリットがある。

2.5インチHDDは、9.5mm厚でも最大2TBモデルが登場している。こう考えると、3.5インチHDD搭載モデルには敵わないにしても、十分な容量のストレージを搭載できるので、メディアPC用途などでも十分現実的なスペックだ。

全てのパーツを装着した状態。M.2 SSDの装着にネジ1本を用いるので、ここまでで使用したネジは計9本。プラスドライバーは、先端のサイズ違いで大小2つ(1番と2番)用意しておけば安心だ

全てを装着したら、底面のゴム脚部分のネジを再び締めればよい。必要となる工具はプラスドライバー程度なので、誰にでも簡単に「自作PC」が組み立てられる。電源は付属ACアダプタから供給し、コンセントからACアダプタまでのケーブルも付属するので安心だ。そのほか、ディスプレイのVESA規格マウントに本機を装着するためのプレートも付属する。

最後にゴム脚部分のネジ4本を締めて組立作業は完了。普通に作業すれば10分とかからないだろう

付属のACアダプタ。おおよそ構成から想像がつくとおりノートPCのものと同じサイズ

なお、OSのインストールの際は、USB接続の外付け光学ドライブや、あらかじめ別のPCで用意したOSインストール用USBフラッシュメモリドライブが必要となる。この点には注意が必要だ。

VESAマウント用のプレートも付属する。ディスプレイ本体のスタンドとは別にVESAマウンタを備えるディスプレイという限定された状況での利用となるが、これに合致すれば一体型PCのような感覚で利用できる。一般的な一体型PCと違い、古くなったとしてもPC側だけ、あるいはディスプレイ側だけ買い換えればよいので、下手な一体型PCよりも長期間での運用コストが抑えられる

Windows 10をインストールした後、OS上からBRIXs、GB-BSi7HT-6500を見てみよう。まずはちょっと気になるドライブの構成。今回はM.2sSDと2.5インチSSDの双方を装着したが、「ディスクの管理」上からもこれが無事動作していることを確認できた。

M.2 SSDと2.5インチSSD(960GB)を接続した際のディスクの管理

M.2 SSDと2.5インチHDD(2TB※本来は内蔵できない15mm厚ドライブ)を接続した際のディスクの管理

これとは別に、(本来装着することはできないが)手元にあった15mm厚で2TBの2.5インチHDDをインタフェースだけ装着して動作確認したところ、こちらも無事認識することができた。つまり、インタフェース的にも消費電力的にも、M.2と2.5インチストレージの同時利用は、問題ないことが確認できた。