「MousePro」が法人のために行った3つの施策

小松氏は「MousePro」が法人向けビジネスを展開するにあたり、個人の顧客とは違う法人の顧客ならではのニーズに応える必要があると考えた。そのニーズの違いとは、スキームの違い、品質の違い、サポートの違いの3つだと述べる。「MousePro」は、これらのニーズに応えるため、どのような対応を行ったのだろうか。

2011年2月に立ち上げられた「MousePro」。現在5周年記念キャンペーンが行われている

小松氏:法人と個人のビジネスのスキームは、購入の検討からご発注までの"足の長さ"が違います。個人のお客様は購入をご検討されてから早いタイミングでご注文をいただけますが、法人の場合はご注文の前に見積もりや社内稟議などが行われます。購入を検討されてから実際の発注まで、おおむね1週間以上かかるわけですね。当社の個人向け製品は「新技術やトレンドをいち早く取り入れる」ことを中心に展開しているので、その特徴が法人では逆にネックとなりました。いざ注文を行う際に構成や仕様、価格が変化してしまっていることが多かったのです。法人向けでは、一定の構成を一定期間安定して供給できるような部材管理と生産管理を心がけています。

法人向けでは、一定の構成を安定して供給できるような構成と生産管理を心がけたと小松氏はいう

小松氏:販売製品そのものに求められる要素も違います。個人向け製品では「新技術やトレンドをいち早く取り入れる」ことを中心に展開しますが、「MousePro」では、パーツごとの特性を観察し、十分な実績のある安定した部品を厳選して使用することで、品質の高いPCを供給することに成功したと思います。

有藤氏:性能が優れていたとしても、まだ市場評価が完了していない、品質を説明できないパーツは「MousePro」ブランドでは販売していません。また、「MousePro」は筺体デザインも、化粧カバーを廃して可動部分を減らすなど質実剛健を旨としたデザインにすることや、Webサイトのわかりやすさなど、すべては営業品質、機能品質、製品品質への取り組みを第一に考えたものです。

小松氏:さらに、サポートにも法人ならではのニーズが存在します。マウスコンピューターではもともと、24時間365日体制で対応いたしておりますので、サポートのベースはすでにでき上がっておりました。この基本的なサポートに、法人需要として挙がったオンサイトサポートや、3~5年間の長期保証を加え、現在の形を作っていきました。

金子氏:現在、最短当日修理返却という「安心パックサービス」をマウスコンピューター全体で行っていますが、これはもともと、法人からの需要に応えて「MousePro」で用意したものです。また、PCのパーツ交換を自己対応できるお客さまであれば、要望に応じてパーツの先出し発送も行っております。先日も、「重要なデータを外部に持ち出したくない」という法人のお客さまに対し、ストレージの返却不要サービスを開始させていただきました。

個人と法人のニーズの違いを分析し、法人向けに特化したサービスを実施することで差別化が図られた「MousePro」。そんな「MousePro」を選択しているのは、どのような企業なのだろうか。