「LITTLEGEAR」が一般向けに販売されることになった理由とは?
――「LITTLEGEAR」がターゲットとしているユーザー層とは?
小林氏:杉澤が説明したとおり、「LITTLEGEAR」はもともとVRコミュニティーに向けて開発を進めていたPCでした。しかし"持ち歩ける"ということはすなわち"小さくなる"ということです。アメリカと違って、日本には住環境の狭さという問題があります。限られたスペースの中に高性能なPCを設置したいというニーズは尽きません。例えば、ゲームが遊べるネットカフェなどがわかりやすい例でしょう。また昨今ではe-SportsやLanパーティーなどで"PCを持ち寄る"という機会もあるのではないでしょうか。こういった背景を踏まえ、よりコンパクトなゲーミングPCとして、一般向けラインナップとしても販売を開始したんです。
"コンパクト"、"持ち運べる"、"ハイスペック"を実現するための設計
――「LITTLEGEAR」の特徴をズバリ教えてください
小林氏:「LITTLEGEAR」の開発コンセプトは明確で、"コンパクト"、"持ち運べる"、"ハイスペック"の3つになります。このなかの"コンパクト"な本体を実現するために、光学ドライブはスロットインモデルをトップパネルに隠れる形で搭載しています。トップパネルを背後にスライドさせると、光学ドライブを確認できます。このスライド機構は完全にロックすることも可能です。
小林氏:"持ち運べる"を実現するためにハンドルは特別に設計しました。表面、裏面のプラスチック部分すべてにテクスチャ加工を施して滑り止めとし、握りやすさにこだわっています。またある程度の重量物となるPC本体を安定して支えるため、ハンドルの根元はネジとフック機構で固定しておりまして、そのうえでさらに金属フレームを追加して補強を施しました。基本的には0.8mmの板金を使用していますが、ハンドル部分には倍となる1.6mmのものを使用しています。
また筐体自体のシャーシも重量に耐えられるよう板金を重ねた上で折り曲げ加工や、コーナーのリベット補強を施しています。これらの加工によって、開発評価時には本体の重量が50kgの状態でも安定して持ち運ぶことが可能となりました。なおこのハンドルの位置は、持ち上げた際の重心位置を考慮して電源ユニットの直上に設定しています。
ハンドルと本体の接合部は、ネジとフック機構で固定。さらに金属フレームを追加して補強が施されており、50kgの重量に耐えることを確認している |
ハンドルで持ち上げた場合でも、破損の無いよう、折り曲げ加工やコーナーのリベット補強で枠組みの剛性を向上させている |
小林氏:"ハイスペック"を実現するために、グラフィックスカードはNVIDIAの「GeForce GTX TITAN X」、AMDの「Radeon R9 Fury X」まで搭載可能な設計になっています。これらフラグシップGPUを安定して動作させるため、電源も700Wまで用意しています。また、お客さまが選択されたグラフィックスカードやCPUの構成に応じて、必要なPC全体のエアフローが実現できるクーリングシステムを組み込んでお届けしています。例えばCPUクーラーをサイドフローにしたり、あえてCPUファンではなくケースファンで排気を行ったりしています。これはファンを2つ設置すると干渉で風圧が生じてしまい、うまく空気が流れない場合があったりするためですね。ハイエンドパーツをコンパクトな筐体に搭載するということでご心配の方もいらっしゃると思いますが、弊社の工場にある恒温室にて、本体周囲温度を40度に設定して検証し、問題なく動作することを開発評価段階で、確認しています。
小林氏:フロントフェイスはG-Tuneのイメージが伝わるようなデザインにしておりまして、電源投入時にはLEDが赤色で点灯します。ストレージアクセス時には青色のLEDも点滅しますので、使用時には2つのカラーが合わさって紫のような光り方になります。G-Tuneのイメージにあわせてカラーはブラック、表面はマット加工とさせていただきました。またデザイン全体として、フロントアクセス部分にいわゆるボタンなどの"出っ張り"が無いような設計を行っています。これは、展示会会場などに設置した際の誤動作を防ぐためのデザインで、杉澤から強いオファーがあった部分ですね。