マウスコンピューターのゲーミングPCブランド「G-Tune」に、新シリーズ「LITTLEGEAR」が追加された。同シリーズは、mini-ITXマザーボードを利用することでG-Tuneブランドのデスクトップ中もっとも小さなサイズを実現したモデル。小さいだけではなく、ハイエンドモデルを含め現行のすべてのグラフィックスカードを搭載できるというのだから驚きだ。
今回は、この「LITTLEGEAR」が誕生したきっかけについて知るべく、マウスコンピューター本社を訪問した。
このたびお話を伺ったのは、コンシューママーケティング室・主任の小林俊一氏(以下、小林氏)と、同室・室長の杉澤竜也氏(以下、杉澤氏)だ。「LITTLEGEAR」を支えてきたお二人に、開発の経緯やターゲット層、そして製品の特徴やアピールポイントなどを詳しく聞いていこう。
"Oculus Riftを動かせる小型PC"から始まった「LITTLEGEAR」開発
――新シリーズ「LITTLEGEAR」誕生の経緯について教えてください
杉澤氏:まずは私から説明させていただきます。実は「LITTLEGEAR」の企画がスタートしたのは1年ほど前なのですが、開発のきっかけとなったのは「Oculus」を体験した2年も前になります。そのころ私は、G-Tuneブランドの主幹として業務を行っていました。当時からPCでゲームを遊びたいというニーズは高く、おかげさまで多くの方に支持を頂いています。
しかし、会社としては市場の流れに漫然と流されるままではなく、次なる可能性を探っていかねばなりません。そう思って情報収集をしているときに現れたのが、ヘッドマウントディスプレイ「Oculus Rift(オキュラス リフト)」でした。プロトタイプで実際に試してみたところ、まぁ度肝を抜かれてしまいまして(笑)。"これがPCゲームの未来だ、これからゲームの世界を変えていくぞ"と思い、さっそくVR(バーチャルリアリティ)システムに関する企画を立ち上げました。
開発初期から持ち歩き用として"ハンドルありき"で設計スタート
杉澤氏:VRシステムの訴求を続けているうちに登場したのが、Oculus Rift「Development Kit 2」(DK2)です。これによってVRの状況は大きく変化しました。よりPCへの負荷が高くなったんです。スペックが低いPCで動作させると3D酔いを起こしてしまう可能性が高いので、ハイスペックなPCが必要になりました。
Oculus Rift DK2発売時にはG-TuneのWebページ内に特設ページも作成され、大きくプッシュされていた |
それだけならまだよかったのですが、NVIDIAのノートPC向け省電力機能「Optimus」との兼ね合いが悪く、不具合が生じてしまったのが問題です。機器を被って体験してもらわなければ、VRシステムの凄さを伝えることができません。展示会などでは、実際に動作する実機が必須なわけです。ですがこのOptimus問題により、ノートPCでの運用が行えなくなったんですね。
こうして、展示会などでVRシステムの実演を行う場合はハイスペックな大型デスクトップPCの持ち込みが必須となりました。
こういった状況の中、VRコミュニティーの方々から「最大級のグラフィックスカードを入れられる小型PCが欲しい! 」というニーズが生まれ、この問題に答えるために開発が始まったのが「LITTLEGEAR」です。
今後のVRシステムの普及に向けて、持ち歩けるデスクトップPCとはなんだろうな……と再定義を繰り返し、着地したのがこちらのシリーズとなります。持ち歩くことを前提として開発していますので、ハンドル装備は当初からの大前提でした。