人生のうちでドラムに触れる機会なんてほとんどなかったため、ちょっと緊張気味。どきどきしながらスティックを握る。基本的な叩き方だけ教えてもらったら、さっそくトライだ。
さっそく叩いてみると……おお! スピーカーから、たしかにドラムの音が出てきたではないか。しかも、少なくとも筆者の耳にはアコースティック・ドラムとの違いがわからないくらい迫力のある音なのだ。
思わず夢中になって叩きまくってしまう。教えてもらったのは8ビートの基本的なリズムだけだが、その通りに叩いてうまくいくのも嬉しいし、なんだったら全部無視してむちゃくちゃに叩きまくるのも楽しい。スピーカーからしっかりとドラムの音が出てくるので、「今、ドラム叩いてるわ~」というリアルな感覚があるのだ。
「実は遅延もなく音が出るって、すごいことなんですよ。山田井さん、めっちゃくちゃ気持よく叩いてますけど、それって叩くタイミングと音が鳴るタイミングに違和感がないってことですからね」
言われてみればたしかにその通りだ。ドラムを叩いて、音が出る。ただそれだけのことなのだけど、電子ドラムの場合は直接手元から音が出るのではなく、一旦スピーカーへ信号を送り、ドラムの音を鳴らしている。ということは、そこにはほんのわずかではあるが、タイムラグが生じているはず。なのに違和感なく聞けるというのは、地味にスゴイことなんじゃないだろうか。
「ローランドはもう何十年も電子ドラムを開発していますから、高い技術力を持って、『最高の演奏フィーリング』を追及しているんですよ」
なるほど、今初めて電子ドラムに触れた筆者は何の疑問もなく受け入れてしまったが、そもそも「電子ドラムで違和感なく音を出す」ということ自体が、技術の積み重ねで実現できたものだったのか。
担当編集の解説そっちのけでドラムを叩きまくっていたところで、ふと目の前のドラム音源パネルが気になった。これ、いろいろモードがあるみたいだけど、どう使うんだろう。
実はこのドラム音源パネル、通常の「Drums」モード以外にも「Tempo」「Coach」「Song」といったさまざまなモードが用意されていて、ドラムの練習をサポートしてくれるのだ。
たとえば「Tempo」は指定したスピードでメトロノームを鳴らしてくれるし、「Coach」はユーザーのリズムが速くなったり遅くなったりしたときに画面表示で指摘してくれる。「Song」は内蔵した音楽を流して、実際にバンドのドラムになった気分で練習ができるのだ。その音楽の音源も本格的なもので、チープさはまったくない。本当にセッションしているような気分に浸れるのである。