AMDの新たなAPU「Kaveri」。CPU、GPU両コアを一新したKaveriは1月中旬に登場すると、売り切れが続出するほどの注目を集めている。このKaveriをベースに、そのコンセプトに忠実に、単体でもカジュアルゲームが楽しめるPCを組むならどのようなマザーボードが良いのだろうか。ここでは、最近のトレンドでもある手頃な価格の「ゲーミングマザー」というジャンルからGIGABYTEの「G1.Sniper A88X」を紹介していこう。

期待の新APU「Kaveri」とそれを動かす「Socket FM2+」プラットフォームへ

Kaveriのメリットには、先にも述べたCPU、GPUコアアーキテクチャの一新とそれによるパフォーマンスの向上や、新しい2つのアーキテクチャによって、CPUとGPUがともにメインメモリを参照できる「HSA」への対応。また、GPUアーキテクチャ「GCN」による「Mantle」APIの利用、そして28nmプロセスの採用によるワットあたりのパフォーマンスの向上……といった多くの点が挙げられるが、もうひとつポイントがある。

それは互換性。自作PCでは、互換性という点が製品選びのポイントになることがある。Kaveriは、昨年後半より流通しているSocket FM2+マザーボードで動作するのだ。昨年末までは、このSocket FM2+マザーに、従来使われていたSocket FM2 APUを組み合わせて利用していた。Socket FM2+マザーは本来Socket FM2+ APU用のものだが、Socket FM2 APUもサポートしており、要はソケットだけ先行リリースされたイメージだ。

だから、Socket FM2+マザーをいち早く導入していた方なら、Kaveriにスムーズに移行できる。逆に、Socket FM2マザーをお使いの方でKaveriに移行したいという場合は、残念ながらマザーボードの買い替えが必要になる。一定期間毎に訪れるこうしたソケットの変更は、新しい機能に対応するためのものであるので、必要コストと割り切るしか無い。

ただ、AMDの場合は、「Socket FM2+マザーに買い替えつつしばらくはSocket FM2 APUを使い続ける」という選択もあり、一気にではなく段階的に移行できるぶん、コスト面で柔軟さがある。メインストリーム、そしてそのなかでもカジュアルにゲームを楽しみたいというニーズにとって、この点は大きなメリットになるだろう。

Socket FM2+マザーなら、Socket FM2 APU(左)も、Socket FM2+ APU(右)もどっちも使える

逆にSocket FM2マザーにSocket FM2+ APUは、物理的に挿せないピン配列になっているので注意

このように、Kaveriを試したい方はもちろん、それ以前のSocket FM2 APUを使い続けるという方も、Socket FM2+マザーに乗り換えておくと、後々の移行が楽になるというわけだが、重要なのがSocket FM2+マザー選びだ。

パフォーマンスアップでゲームの画質・解像度を一段引き上げ可能に

APUは、それ単体でカジュアルなゲームであれば十分に楽しめるだけのパフォーマンスを持っている。ただ、Kaveriより前のAPUでは、画質や解像度を抑える必要があったのだが、GPUが大幅にパワーアップしたKaveriでは標準画質やフルHDが狙えるようになった。

ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編(Point)

新生エオルゼア ベンチマークでのスコアの目安は、およそ1000ポイント台が「設定変更を推奨」で、2000ポイント台が「普通」、3000ポイント台前半が「やや快適」、3000ポイント台後半が「快適」となる

ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア ベンチマーク キャラクター編(fps)

新生エオルゼア ベンチマークの結果をフレームレートで見ると、2世代前のTrinity「A10-5800K」や前世代のRichland「A10-6800K」では30fpsを超えられるのが1280×720ドットの標準画質のみであるのに対し、Kaveriこと「A10-7850K」なら、1920×1080ドットの標準画質、1280×720ドットの高画質も視野に入ってくる

ドラゴンクエストX ベンチマークソフト

ドラゴンクエストXの場合はおよそ4000ポイント台が「普通」、5000ポイント台が「快適」。1920×1080ドットの最高画質でもまずまず遊べそうではある。負荷の低い1280×720ドットはバスなどの別のところにボトルネックがある状態で頭打ちなため、高負荷な1920×1080ドットで評価すると、A10-7850Kのみがグッと抜きん出ていることが分かる。これがKaveriのパフォーマンスだ

そこで、検討して欲しいのが、ゲーミングマザーというジャンルだ。ゲーミングマザーの想定するシナリオ、とくにAPU向けのゲーミングマザーのシナリオがある。まずはAPU単体の統合GPUでカジュアルなゲームを楽しみつつ、その後PCゲームにハマった場合、マルチGPUのようなまさにゲームパフォーマンスを追求する構成へとステップアップできるところだ。

もちろん既にPCゲームにハマっている方には、AMDであればFXシリーズのような、より高性能なCPUにマルチGPU対応機能を備えたゲーミングマザーが登場している。ただ、APU向けゲーミングマザーはまだ歴史が浅い。そんなAPU向けゲーミングマザーのなかでも、注目株で、かつかなり早い段階でリリースされたのが今回紹介するGIGABYTEの「G1.Sniper A88X」だ。