携帯電話3社の2012年度第3四半期の決算が出そろった。不調のNTTドコモ、復調の兆しが見えるKDDI、好調のソフトバンクという三者三様の状況だが、各社の今後の戦略が注目される結果となった。

増収減益のドコモ

ドコモは、2012年4月から12月の累計で営業収益が3兆3,708億円となり、前年同期比6.2%増、営業利益は7,022億円で同5.6%減となり、増収減益。スマートフォンの販売台数が同75.2%増の969万台と好調で、それにともなってLTEサービス「Xi」契約数が868万と、前年度末比290%増と拡大。その結果、パケット収入も同7.7%増の1兆4,769億円に達した。

減益要因は、端末販売費用の増加と、子会社関連費用の増加などが増えたためで、パケット収入の増加や端末販売収入の増加を上回った。月々サポートの影響も1,286億円と大きく、こうした費用の増加が課題だろう。

10月、11月と端末販売が不調で、加藤薫社長が「想定以上」というほどのMNP流出が続き、11月には契約数が純減するという事態にまでなったが、冬モデルの販売で一息ついたかたちで、流出は13.2万件だが、23.5万の純増まで回復。「主力製品が順調で、競争力が回復の兆しが出てきている」と加藤社長は指摘する。

端末販売数も、年間2,380万台の計画に対して順調で、特にスマートフォンが好調であり、1月には1,000万台を突破した。Xi契約数も、2013年1月に900万を超え、すでに上方修正した1,100万の年間目標を上回る勢いだ。

10月には新しくXiパケ・ホーダイライトプランを投入。既存のXiパケ・ホーダイフラット、ダブルと合わせて、3種類から選択できるようにした。利用層は、12月末時点ではフラットが最も多いが、ライトも拡大しており、8月と11月を比べてみると、平均パケット利用料が700円増加しており、特にこれまでパケット通信の中低利用者のLTE移行が進んだことも、全体のパケットARPUの増加に貢献している。

こうした結果、パケット収入は四半期単位では初めて5,000億円を突破。加藤社長は、さらにスマートフォン拡大、Xi契約数の増加を進め、収入を拡大していきたい考えを示している。

ドコモが「新領域」として注力する分野では、ドコモクラウドを中心としたサービスなどの収入として「スマートARPU」を提示しており、これも420円と同60円増。着実に伸ばしており、次の収益の柱にすることを目指す。

四半期で過去最高益のKDDI

KDDIは、同じく営業収益が2兆7,106億円で同2.5%増、営業利益は3,956億円で同3%増の増収増益で、累計では過去最高の売上を達成し、増益転換も果たした。第3四半期のみだと同40%増という大幅な増益を達成しており、四半期単位では過去最高益となっている。特に12年度第1四半期は32.8%の減益からスタートしており、業績は上向いている。