端末ラインナップで、ドコモは「選択と集中による競争力の強化」をあげており、「主力機種の積極訴求」を図って、ラインナップも絞り込む。さらに、らくらくスマートフォンやスマートフォン for ジュニアのようなセグメントに特化した端末も用意。ARPU拡大への寄与が大きいスマートフォンを今後も強化する考えだ。

KDDIは、AndroidとiOSの両面でラインナップを構築。ソフトバンクはiOSへの傾倒、1%を超える解約率が懸念材料だが、販売は好調で、まだこの傾向は継続しそうだ。

ネットワークでは、ドコモ、KDDIが通信障害を繰り返しているが、各社とも、特に都市部の3Gネットワークで苦戦している。そのため、LTEへの移行を進めている。ドコモは、当初から標準化活動に参加し、携帯事業者では最多の204件の特許を抱えている。LTE開始から2年が経ち、運用やパラメータ最適化などでノウハウも蓄積してきた点をアピール。さらに下り最大112.5Mbpsのエリアや75Mbpsのエリアを拡大するとともに、2013年度中には150Mbpsの速度を実現。足元のネットワーク環境を強化していく考えだ。

KDDIは、800MHz、1.5GHz、2.1GHz帯という3種類のLTEネットワークを駆使して、環境の構築を進めるが、これに加えてマルチネットワークによるオフロードによって、効率的な設備投資を進めていく。すでに、家庭での通信ピークを低減するために「Wi-Fi HOME SPOT」を12月末までに165万台配布。ビジネスタイムのピーク低減には、公衆無線LANの「au Wi-Fi SPOT」を22万スポットまで拡大した。その結果、12年3月には20%程度だったオフロード率が、12月には43%まで増加。2013年度末に50%を目標としている。

ソフトバンクは、「最後の課題」という「つながりやすさ」を重視。通信速度とデータ通信ができる「接続率」という2つの指標で、現在のつながりやすさをアピールする。速度は、RBB TODAYのスピードテストアプリでユーザーが計測した全国5kmメッシュの150万サンプルの結果、最速地点はソフトバンクが5,721地点と最も多く、平均速度も下り6Mbpsで最速だったという。そのほかの調査でも、KDDIよりもソフトバンクの方が高速な地点が多かったそうだ。

接続率では、音声は10万件以上の発信を行って調査した結果、全国で最も接続率が良かった。データ接続率では、ヤフーの防災速報アプリなどでログをユーザーに提供してもらい、月間3,000万件規模のデータを解析した結果、全国では他社を上回る結果だったという。

今後も基地局を増やし、イー・モバイル買収による1.7GHz帯の獲得での周波数帯域の拡大を生かしたネットワーク環境の改善を進めていく。

コンテンツ・サービスでは、ドコモは「新領域」として「スマートホーム」戦略を掲げる。スマートフォンを中心に、家庭内のタブレットやテレビなどと連携させることで、コンテンツとサービスの利用拡大を目指す。タブレットのdtab、テレビに接続するスティック型のdstickを提供し、dマーケットで販売するコンテンツをさらに訴求していきたい考え。

こうした通信料以外の収入を、ドコモは「スマートARPU」と表現。第3四半期は420円まで拡大し、今後も拡大を目指す。

また、しゃべってコンシェルのキャラクタービジネス、dゲーム、dビデオ、dショッピングといったサービスも拡張していき、今年度は5,200億円、15年度には1兆円規模まで成長させていく。健康領域にも拡大し、家庭の測定機器のデータを蓄積し、それを元に健康食材や健康機器、保険などを連携させる「ウェルネス(健康)をトータルでサポート」(加藤社長)ことを狙う。

KDDIは、auスマートバリューとauスマートパスによる拡販を強化。ドコモとは異なり、固定との連携も可能であり、FTTHなどの拡大にも貢献しており、コンテンツに関してはドコモのスマートARPUと同様に「付加価値ARPU」として、この第3四半期は300円にまで拡大。これを継続させたい考えだ。

ソフトバンクも、ヤフーやガンホー、UULAなど、スマートフォンを中心としたコンテンツ・サービスをグループ内で強化しており、通信料以外の収益源の確保を続けている。

ソフトバンクはもともと具体的な戦略を明かさないため、今後の展開は定かではないが、Sprint買収にともなう米国市場への取り組みが注目される。グループ全体の規模が変わることで調達力が向上し、端末やネットワーク機器調達で有利になる点を強調し、買収にともなって7,000億円前後の利益を確保したい考えだ。

各社とも、スマートフォン・LTEの進展で収益性が改善されており、各社はコンテンツやサービスでの収益拡大を目指している。収益の改善、拡大にともない、今後は通信料金や割引を除いた端末代金の高止まりも課題となるだろう。LTE拡大による設備投資が続くが、これが一段落したときの各社の戦略も注目したい。

(記事提供: AndroWire編集部)