モバイル通信料収入、固定通信料収入が増加したことに加え、第2四半期まで影響していた周波数再編コスト180億円が解消されたことが増益に寄与し、最高益を達成した。

au携帯電話の解約率は0.58%で業界最低水準。J.D. パワー調べによる顧客満足度も3年ぶりに1位に返り咲き、MNP純増数は15カ月連続1位、純増数も前年同期比32%増の171万(累計)となるなど、好調な指標が出ている。

通信ARPUは4,220円で同6%減だが、「ほぼフラットになりつつある」と田中孝司社長。音声収入の減少が下げ止まりつつあり、データ収入の増加は順調で、同13.8%増の2,880円と2ケタ成長となっている。

モバイル全体の通信料収入は、第1四半期を底に上昇しており、同1.2%増で増収に転換。固定通信でもFTTHが好調で黒字幅が拡大。2つをあわせた通信料収入が、第3四半期までの累計で増収転換したことで、「来期以降の成長のドライバになる」と田中社長は話す。

通信事業の顧客基盤拡大を狙った「auスマートパスポート構想」も順調に進展。携帯と固定を利用することで形態の基本使用料を割り引く「auスマートバリュー」は、au契約数が285万、契約世帯数が166万に達し、世帯数では期初計画を前倒しで達成した。家庭の固定回線との組み合わせのため、家族に波及することが期待でき、スマートフォンやFTTHの新規契約増加に貢献。各地の固定系事業者との連携を拡大することで、サポートエリアが増加することに加え、顧客獲得単価も低減できるという効果が出てきている。これをさらに増大することで、顧客基盤を拡大させることが狙いだ。

auスマートパスは、1月に400万会員を突破し、順調に会員数を伸ばしている。au IDを中心に、マルチデバイスに対応したコンテンツ・サービスで、月額390円のスマートパスに加え、ビデオパス、うたパス、ブックパスという上位サービスの投入で、さらにコンテンツ収入を拡大していくことを目指す。12月にはスマートフォン購入ユーザーの83%がスマートパスに契約しており、これらの「付加価値ARPU」は第3四半期で300円となり、底上げに貢献している。

「世界一」のソフトバンク

ソフトバンクは、連結の売上高は同5%増の2.5兆円、営業利益は2ケタ成長となる同13%増で6,001億円の増収増益。売上は3期連続、利益は8期連続の過去最高であり、利益で初めて6,000億円を突破した。

孫正義社長は繰り返し、ほかの携帯2社を超えている点をアピール。営業利益の増減率、営業利益率、モバイル営業利益率といった指標を掲げて、好調な業績である点を強調する。純利益だけは前年同期比マイナスだが、前年はグループのRenrenの株式市場上場、米Yahoo!の株式売却の影響があったため、それを除くと順調に推移している、という。