純有利子負債の削減も順調で、EBITDAに対する負債の倍率は06年12月末の4.4倍から12年12月末で0.7倍となり、適正水準を維持。負債額も6,100億円まで削減した。12月末には、米Sprint買収のため、転換社債取得で2,500億円の負債が追加され、8,600億円に拡大したが、それでも適正水準を維持している、と強調する。

Sprint買収の資金201億ドルはすでに手当済みで、しかも昨今の円安基調の前に取得したため、仮に1ドル91円だった場合に比べ、2,000億円近く安い価格になっている、という。この点に関しては「スピード」をアピールする孫社長。

足元の国内の携帯事業では、ウィルコム買収、イー・モバイル買収という「飛び道具」(孫社長)ではあるものの、4,056万契約となり、2010年10月に立てた目標を達成した。4~12月の純増数も他社をしのぐ237万で、5年連続で純増数1位を維持した。

iPhone 5の販売も順調で、「auを圧倒した」と孫社長。ARPUに関しても、他社が下落を続ける中、4,370円と増加傾向を維持している。契約数の伸びが高く、ARPUも増加していることから、モバイルの通信料売上は1兆1,749億円で9%増となり、「売上が携帯業界で世界一伸びている」と強調。主要な世界の携帯事業者の中では、「完全に世界一で高収益」とアピールする。ただし、四半期単体でみると、iPadなどの非音声端末の増加と事業者間接続料の値下げによる収入減で音声ARPUが減少しており、それをデータ収入の伸びがカバーできず、前年割れが続いている。

内訳では、音声収入などが減収ながら、データ収入が17%増と2ケタ成長となって全体の収入を押し上げたかたちで、3社で唯一、前年同期比で増収を達成したという。モバイルのEBITDAマージンは52%にまで成長し、これも「世界一」と孫社長。営業利益も3,899億円に拡大した。

固定通信も営業利益が811億円になり、14%増という伸び率も「世界一」としている。また、米Googleのクラウドサービス「Google Apps for Business」の販売も好調で、累計で40万ID以上を販売した企業は「世界一」。同社からGoogle Apps for Businessを契約した企業は、7割がソフトバンクのスマートフォン、タブレットを利用するということで、波及効果もあるという。

コンテンツではヤフーの営業利益が1,354億円で過去最高益を達成。子会社のガンホーが提供するゲーム「パズル&ドラゴンズ」がAndroidのGoogle Playで売上世界一になり、iOSのApp Storeでも日本一となっており、あと「1~2カ月で世界一になるのでは」としている。

孫社長は、ボーダフォンジャパン買収時の課題として、「端末」「営業・ブランディング」「コンテンツ」という3つをあげ、これを「iPhoneを中心とした端末の品揃え」「純増数1位や広告でのグランプリ受賞」「アプリやUULAなどのコンテンツ」といった施策で改善。「課題を克服した」と述べ、競争力強化につながっていると説明した。

3社の今後の戦略

こうして出そろった3社の決算だが、今後の戦略として、「端末ラインナップ」「ネットワーク」「コンテンツ・サービス」という3つの方向性は各社とも共通している。