――今回の第3弾を作るにあたって、新曲のボーカリストに谷山さんを選んだ理由を教えてください
上松「今年は『うたの☆プリンスさまっ♪』というゲームで、女の子向けコンテンツの音楽を作るということに挑戦してみようという年でもありまして、その中で主題歌を宮野真守さんに歌っていただいたのですが、宮野さんもすごいんですよ。それで、男性の声優さんでボーカリストっていうのは、実はすごいんじゃないかって思いまして。『II』では影山(ヒロノブ)さんにお願いしたんですけど、そのときも男性ボーカルの魅力というものを感じましたね。Elements Gardenの場合、女性ボーカルでの仕事は多かったのですが、男性ボーカルはほとんどない。なので、こういうときにこそチャレンジするべきだろうと思いまして、GRANRODEOとして武道館も成功させている谷山さんに、ダメモトで『Elements Gardenって知っていますか?』って尋ねてみたんですよ」
――ダメモトだったんですね
上松「そうしたら、すごく面白い接点がありまして。GRANRODEOでギターを弾いているe-ZUKAさんは、実は僕の専門学校時代の先生で、半年ぐらいマンツーマンで、機材やアレンジを教わっていたことがあるんですよ。それを谷山さんに話したら、『えー、そうなの?』みたいな感じで盛り上がりまして(笑)。そういった接点もあり、谷山さんからは『うたの☆プリンスさまっ♪』でも本当に天才の匂いがプンプンとしていたので、ぜひともやっていただきたいと思いました。母里君は谷山さんの歌を聴いてどうだった?」
母里「すごかったです。レコーディングで聴いているときも、菊田さんや中山さんと一緒に、ずっと『すげー』って言っていました。いくつかのテイクを録らせていただいたのですが、どのテイクも良くて、本当にすごかったですね。曲が難しいので、最初はどうかなって言っていたのですが、そんな心配もまったく不要でした」
――谷山さんが歌う「PLEASE KILL OUR MUSIC」は、作詞・作曲・編曲ともにElements Gardenとなっていますが、今回上松さんはどの程度関わっていますか?
上松「僕はですね……、"タイトル"を考えました(笑)。あと、歌詞の素案みたいなものを考えています。今回の『Elements Garden III』では、僕の色を薄めようというイメージもあり、なるべく淳平や藤間、菊田、中山、母里といった若い5人の化学反応で、Elements Gardenというものを表現してほしかったんですよ。なので今回、メロディには一切、手を付けずにみんなに任せた感じですね。ずっとウズウズはしていましたが(笑)」
――「PLEASE KILL OUR MUSIC」というタイトルにはどういった意味を込めていますか?
上松「このタイトルには、いろいろな捉え方があると思うんですよ。『自分たちの音楽を殺す』というタイトルですから、もしかしたら挑戦的に捉えられるかもしれない。でも、ぼくはちょっと違っていて、これからも音楽を作り続けていくという中で、『僕たちの音楽を救ってよ』という逆の意味のようなものを含んでいるんですよ。音楽を作る仕事というのは、99.999の9をずっと足していく作業で、100には絶対に届かない。その届かないという感じを表現しつつ、インパクトがあって、谷山さんらしい雰囲気にできないかと考えたところ、思い浮かんだのが『PLEASE KILL OUR MUSIC』というタイトルなんですよ。本当に感覚重視なんですけど、母里君はこのタイトルを聞いたときにどう思った?」
母里「カッコいいなって思いました」
上松「本当に? 俺に言わされてない?」
――ちなみにタイトルを付けたのはどの段階ですか?
上松「1コーラスめの歌詞だけは一応書いたんですよ。もちろんそれは素案で、好きなように直していいよって中山に渡したんですけど、結局、英語の位置だけは僕の考えた通りで、ほかは全部中山が作っている感じになっています。その素案の段階で、すでにタイトルもできていたのですが、プロデューサーからは大反対されました(笑)」
――そこを説得したわけですね
上松「やはりこのタイトルは、そういう風に引っ掛かって、議論が起こると思うんですよ。ただ、それをきっかけにして、興味を持ってもらえたらいいなとは思っています」
――「PLEASE KILL OUR MUSIC」について、母里さんはどのように関わっていますか?
母里「ほかの曲と同様にレコーディングエンジニアとして入らせていただいたのと、あとは……」
上松「歌ったよね?」
母里「そうなんです。じっくりと聴いてもらうとわかるんですけど、イントロとか間奏のところに、コーラスっぽい『はーっ』っていう声が入っているのですが、あれは僕がやらせていただいています(笑)」
上松「僕も後で知ったんですけど、ちゃんと関わっていました(笑)。どうしてあそこは『はーっ』になったの?」
母里「曲のイメージから、怖いとまではいかないんですけど、そういった匂いがする曲だったので、『はーっ』になりました(笑)」
――それはアドリブなんですか?
母里「アドリブです」
上松「天才肌なんです(笑)。ブースに入れれば何かが起こる、みたいな」
――指示などはまったくなかったのですか?
母里「はっきりとは覚えていないのですが、あまりなかったような気がします。一番最初のデモの段階で、マイクを持たせてもらって、イントロの雰囲気にあうように何かやれ、みたいな感じで……」
上松「ひどいな、先輩たちも(笑)。いじめかなとか思わなかった?」
母里「いえ、楽しかったですよ」
――なかなかできない経験ですよね
上松「ブースに入って歌う側になって、初めて歌う側の大変さもわかる。そういった経験は、この1年の間にいっぱいしてきたよね」
母里「すばらしい経験をさせてもらっていると思います」