コンシューマ向けに続いてビジネス向けでも一体型PCが盛り上がりつつあるが、この手のPCの構造の宿命で、どうしても問題になりがちなのがメンテナンス性だ。その問題を解決する「ThinkCentre M90z」は、一体型でありながら手を入れながら使われることを想定した内部アクセスの簡単さと、さまざまなオプションで企業での利用を容易にする工夫が施された製品だ。
試用機の主な仕様 [CPU] Intel Core i5-650(3.20HGz) [チップセット] Intel Q57 Express [メモリ] 2GB [HDD] 320GB [グラフィックス] Intel HDグラフィックス(統合型) [ディスプレイ] 23型フルHD(1,920×1,080ドット)液晶 [OS] Windows 7 Home Professional 32ビット [ダイレクト参考価格] 155,610円
選べるスタンドで設置方法も広がる質実剛健なボディ
一体型のデスクトップPCが、最近企業向けにも増えてきている。その1つが「ThinkCentre M90z」だ。23インチの液晶を搭載したボディはなかなかの迫力。一般的な事務机に置くには少々大きいように思えるが、一体型なので意外と設置スペースは小さく、またデュアルディスプレイで作業しているような人にとっては、むしろ机上をすっきりさせる効果がありそうだ。
設置方法は2種類ある。標準のスタンドは「フレーム・スタンド」で、ディスプレイ下に金属製のフレームを取り付けるような形で若干浮かせ、背面もシンプルな金属フレームで支えるだけの形だ。かなり大型ではあるが、イメージとしてはデジタルフォトフレーム風になる。本モデルではオプションでタッチディスプレイを選択することができるが、タッチでの操作をメインにするならばこちらが便利だろう。
試用機に取り付けられていた「モニター型スタンド」は、2,100円追加料金がかかるオプションだが、ディスプレイ設置の自由度はかなり広がる。チルト角度は-5度~+25度まで調整可能になり、高さ調整も可能だ。一番高い位置に設置すると、接地面から約20センチ程度持ち上げることができる。個人利用のデスクではあまりここまでの高さが必要とされないかもしれないが、会議室などで遠い席からも見やすくするにはとても便利だ。本体重量が約10.7kgと重い割りに、高さ調節は非常に簡単に行える。高さを出したい時には背面の赤いバーをつかむと一番簡単に引き上げることができるが、ディスプレイの両側をつかんで持ち上げる形でも問題ない。下げる場合には一番上を片手で押し下げるだけで十分だった。
少々残念なのは、左右の首振り機能が全くないことだ。本体が重いだけに、ちょっと傾けて同僚に見せるというわけにはいかない。個人がデスクで利用するには周囲の目を気にせず仕事ができて便利だが、ちょっとしたディスカッションなどには利用しづらい部分もあるかもしれない。
「モニター型スタンド」の底部は、傾きのない平らな板が前に向かってせり出している形だ。付属キーボードを脚部に押しつけるところまで差し込むと、ちょうど手前部分がキーボードの手前端と重なる程度になる。ディスプレイの横幅もテンキーつきキーボードの左右幅にプラスαという程度で、すっきりと収納できる形だ。また、平らな板状であるため、仕事中に入力用の原稿をたてかけたり、ペンを置いたりという使い方をしても滑り落ちたり傾いたりする心配はないのが使いやすい。
外観デザインは、いかにもレノボらしい質実剛健な雰囲気だ。無骨だがオフィスでは良く馴染むだろう。大型ディスプレイ搭載の一体型モデルを選択したいが、あまりオフィスに煌びやかなPCがあるのは好まない、という企業には利用しやすい。ディスプレイはタッチ機能を選択しない場合、ノングレアタイプ。これもビジネスユーザーにとっては嬉しい選択だろう。
ウェブカメラの搭載はオプションで選択可能だが、試用機には搭載されていた。面白いのは、物理的に撮影不能な状態にする機構がついていることだ。ディスプレイ上部についているレバーをスライドさせると、カメラ本体がフレーム内で移動し、カメラホールから隠れてしまう。うっかり接続したままで社内の様子が漏れていた、というようなことを警戒するならば、普段は閉じておいてウェブ会議の時だけカメラを露出させるというような規定を作ると良いかもしれない。