ニコンから、D3の高画素モデル「D3X」が遂に登場した。価格はオープンプライスだが、実勢価格は91万円前後(本文中も含め、価格は12月19日現在のマイコミジャーナル価格情報の平均価格)と、ニコンのこれまでのデジタルカメラとしては最も高価。
D3の撮像素子を2450万画素にした「D3X」
ニコンの従来のプロ機、D2シリーズでは高画素版の「D2X」と高速版の「D2H」に別れていた。次世代の「D3」がフラッグシップ機としてはやや少ない1210万画素であることや、ニコン製ソフト内に「D3X」という文字列があったことなどから、早い時期から登場が噂されていた。
D3Xのボディは基本的にD3と共通で、CMOSセンサーが有効2450万画素のものに換装されている。CMOSセンサーは、画面サイズ35.9×24mmの35mmフルサイズ(FXフォーマット)で、総画素数は2572万画素。出力解像度は、最大で6048×4032ドット、中央部だけを切り出したクロップ撮影により、DXフォーマット(最大3698×2640ドット)や、5:4フォーマット(5056×4032ドット)での撮影も可能だ。CMOSセンサーの変更により、D3では撮影感度はISO 200~6400までが常用感度だったが、D3Xではスタジオ撮影での大型ストロボ使用が考慮されて最低常用感度はISO 100になり、高感度側も最高でISO 1600へと暗くなった。ここからの増減感は可能で、ISO 50相当、最大ISO 6400相当での撮影が可能となっている。
なお、D3X発売後もD3は高速版として併売される。最大9コマの高速連写(FXフォーマット)と、35mmフルサイズながら1210万画素に抑えたことで可能になった常用撮影感度ISO 6400は、D3Xとは別のシーンでまだまだ活用できる。D3には「H」の文字はついていないが、D2時代のD2HとD2Xの関係になるという。
ゴミ取り機構は装備されない
ボディはD3と比べて外観上の違いはほとんどなく、変更されているのはロゴ程度。本体サイズも約159.5(W)×157(H)×8.5(H)mmと、D3とまったく同じ。ただし、重量は約1220gと、D3の約1240gより軽くなっているが、これはセンサーユニットが変更になったことで、センサーに付随する基板などの重さが違うためだろう。
残念なのは、D700登場時に搭載されたフルサイズ対応のイメージセンサークリーニング機能が搭載されていないこと。実売でも90万円近いフラッグシップ機なのだから、基本設計を変更してでも実用度の高いイメージセンサークリーニング機能は搭載してほしかったところだ。
そのほかの主な仕様はD3に準じている。画像処理システムは「EXPEED」で、内部画像処理は16bit。レンズの倍率色収差を軽減する機能や、周辺光量を補正する「ヴィネットコントロール」、測光用の1005分割RGBセンサーを使ったシーン認識機能、被写体追尾機能、ライブビューによる位相差検出方式とコントラスト検出による2種類のAF機能などを搭載する。ファインダーは視野率100%で倍率は0.7倍。AFセンサーは全51点、中央部の15点にはクロスセンサーを採用する。ボディはマグネシウム合金製で、防滴防塵機能も備えている。背面の液晶モニターも92万ピクセル3.0型とD3と同じだ。
画素数の増加に伴い、DXフォーマットでの連写は7コマ/秒、FXフォーマットと5:4フォーマットでの連写は5コマ/秒と減少している。連写性能としては約2110万画素のキヤノンEOS-1Ds Mark IIIやソニーのα900と同等で、35mmフルサイズセンサーを持つ普及機のD700やEOS 5D Mark IIよりも高速となる。