軽快なオートフォーカス
D3XのAFセンサーは、D3と同じく中央部の縦長エリアに配置された15点全てにクロスセンサーを採用している。AFセンサーが画角中央付近に集中しているのはほかの35mmフルサイズセンサー採用機と同じだが、やはり不満が残る。ファインダー内にまんべんなく配置してほしい。
今回主に試用した「AF-S 24-70mm F2.8G」との組み合わせでは、フォーカス速度は非常に速く正確だ。思っていたところにフォーカスが合わなかった場合でも、フォーカスが速いので合わせ直すのを面倒に感じない。また、全51点と多点AFのため、センターから少しずれた場所に被写体がある場合でも、その場所にフォーカスポイントを移動できる。
ただし、通常使用では不満を感じなかったものの、フォーカステストのグラデーションのターゲット体ではほとんどシャッターが切れないか、合焦しても7.5秒と非常に時間がかかってしまう結果となった。平均合焦時間こそ速かったが、これは実質的には格子状ターゲットのみでの数値のため。しかし左端のAFポイントを使った場合でも、中央のAFポイントに比べてわずかしか遅れはない(EV5の明るさ)。これはいいと思う。
ブランコの撮影では、すばらしく被写体を追従した。途中何度か外してしまうケースもあったが、AF性能というよりはむしろAFポイントに被写体を捉えきれなかったのが原因だろう。動体追従テストでは、フォーカスが合わないカメラではシャッターが切れずにAF動作を続けるカメラも多いのだが、ほぼ一定間隔でシャッター切れ、フォーカスを外した場合でもすぐに復帰するのはさすがプロ機である。
解像力は高いが、シャープネスも強い
解像力テストでは、解像力チャートの最大解像度を超えてしまうために、4倍の面積で撮影してテストを行なっている。チャート上では1300TV本まで解像されており、実質2600TV本相当の解像力があることがわかる。解像力は高いのだが、ややシャープネスを強くかけているようで1300TV本あたりから輪郭と本体の区別が付かなくなってくる。
解像力チャートを4倍の面積になるように撮影し、解像力を調べた。左はF2.8、右はF11で撮影している。[AF-S 24-70mm F2.8G / L+Fine(JPEG) / 70mm / ISO 100 / 絞り優先AE / 分割測光 / WB:オート / ピクチャーコントロール:スタンダード] |
常用できる高感度はISO 800程度まで
D3の高感度画像のノイズの少なさは非常に優秀だった。しかし、高感度時のノイズは撮像素子によるところが大きく、撮像素子が変更されたD3Xではその画質が大きく変わっていることが予想できる。実際に、D3の時にはISO 200~6400が常用感度とされていたが、D3XではISO 100~1600と高感度側で常用感度が2段も下がった。
D3Xでも、D3と同様に「高感度ノイズ低減」機能があり、「しない」「弱め」「標準」「強め」の4段階に設定できる。「標準」ではISO 1600程度まではノイズが少ないが、常用感度を外れたISO 3200相当の「Hi-1」ではノイズは増え、ISO 6400相当の「Hi-2」では色ノイズも載ってくる。「強め」では、「Hi-2」の色ノイズも若干抑えられている。感度によって「高感度ノイズ低減」の強度を変更する機能が欲しいところだ。
今回のテストを見る限り、高感度ノイズの少なさに関しては、残念ながらD3には及ばない。しかしD3Xが劣っているというよりは、D3が特別といえる。「標準」ならISO 1600までは普通に使用できるだろう。また、ある程度高感度に設定しても、見るに耐えない色ノイズだらけの画像ではなく、ノイズ感はあっても全体をしてまとまった画像だと感じた。