操作感は気持ちいいが、やや古さを感じる操作性

D3Xの操作体系はD3と全く同じだ。グリップ前後に設けられたメインコマンドダイヤルとサブコマンドダイヤルはゴムでカバーされ、微妙に角度がつけられて操作しやすい。片手でぶら下げて歩いている時にも、ボディ剛性のおかげかなんだか安心感がある。レリーズボタンを押すと軽いカシャッという音とともに小気味よくシャッターが切れる。もちろんレリーズ時には内部で35mmフルサイズ対応の大型ミラーが動作しているのだが、シャッターを切ったときには重心の変化などを感じず、精密機械が正しく動いているという手応えが伝わってくる。シャッターを切ることが楽しく感じられるのはD3譲りだ。

しかし、操作していて不満な点もある。背面には十字キーがあるが、この十字キーの操作感がいまひとつだ。ニコンのデジタル一眼レフは全体的に十字キーのクリック感がないが、D3Xでは十字キーがふにゃふにゃとした上に、キーを押し込んだ時のストロークが長いせいで操作しづらいのだ。メイン/サブダイヤルなどの操作感はいいだけに、十字キーの頼りなさが余計に気になってしまう。

縦位置シャッターがついた大型ボディ

レリーズボタンを押すと「バシャッ」という音とともに小気味よくシャッターが切れる

背面液晶は今ではスタンダードとなった92万ピクセルの3.0型液晶

露出補正はボタンを押しながらメインコマンドダイヤルを回す。メイン/サブコマンドダイヤルのみで露出補正を行なえる簡易露出補正モードも設定できる

DXレンズの装着にも対応。DXレンズを装着すると、画角が自動的に切り替わる

画角はFXフォーマット、DXフォーマットのほか、5:4フォーマットでも撮影可能

FXフォーマット時

DXフォーマット時。記録されないエリアはグレー表示される

5:4フォーマット時。左右の記録されないエリアがグレー表示される

普及機からプロ機にやってくるユーザーのために

これまでのフラッグシップモデルからずっと変更されていないのだが、個人的には左肩にあるレリーズモードダイヤルにクリック感がないのがいつも気になっている。ロックボタンがあるので正しい位置でロックはされるが、このダイヤル自体にもクリック感があったほうがいいと思う。

背面液晶表示には、D3と同様に撮影情報などを表示できる。しかし、背面液晶を見ながら直接設定を変更することはできず、撮影情報を表示していない時と同様の操作でしか設定は変えられない。下位モデルでもできるのだから、フラッグシップとなるD3Xでもできるようにしてほしいところだ。

D700で可能になったライブビュー時の水準器表示機能は、D3Xにも受け継がれている。大きな画面上に水準器が重ね合わせて表示されるため、非常に視認性は高い。ただ、レリーズ後には通常のライブビュー映像に戻ってしまう。水準器表示は常時オンにできる機能も欲しい。

D3Xでは画像再生時の拡大率変更は「サムネイル/拡大ボタン」とメインコマンドダイヤルの併用になっている。プロ機として操作性を受け継いでいるのは考え方として正しいのだろうが、普及機からプロ機にステップアップするユーザーにとってはどうだろうか? 戸惑うことも少なくないはずだ。現在のニコンの普及モデルでは「+」ボタンと「-」ボタンで拡大率を変更する方式を取っている。いっそのこと、設定で両方の方式を切り換えられるようにしたらどうだろう?

液晶表示。撮影情報は、ピクチャーコントロールやノイズリダクション、AFポイント位置も表示される

ライブビュー機能ももちろん搭載される

D3と同様の水準器機能が搭載される

ライブビュー時の水準器表示機能は数少ないD3に追加された新機能だ