ピクチャーコントロールにはカスタムモードを追加
ニコンの色作り機能である「ピクチャーコントロール」では、D3にも用意された「スタンダード」「ニュートラル」「ビビッド」と「モノクローム」に加え、新たにカスタムモード「C-1(標準ではSEIYAVIVID)」と「C-2(標準ではVIVID-02)」が追加されており、ユーザーが任意に設定を変更し、登録できる。従来から用意されていた4種類の設定も、「輪郭強調」「コントラスト」「明るさ」「色の濃さ(彩度)」「色合い(色相)」は±2段階で調整できる。
ピクチャーコントロールには「C1」と「C2」のカスタムメニューが追加された |
各ピクチャーコントロールで十字キーの右を押すと設定の微調整も可能。クイック設定で一括設定するか、各パラメーターを個別にも調節できる |
晴天下で道端に咲いていた椿を撮影。ピクチャーコントロールはスタンダードに設定しているが、派手なピンクに写った |
光を強く反射している道路標識を裏から撮影。標識そのものは正しく露出されているが、背景の青空がまるで書き割りのような青になった |
色乗りがよすぎる傾向。抑え目の設定がいい
D3Xの色作りは、撮像素子が変更されてはいるがD3と変わっていない。D3以前の機種に比べて、色乗りはよくなっているのだが、「ピクチャーコントロール」がスタンダードでも、やや過度に色を載せてくる傾向が強く、色が飽和しやすいようだ。スタンダードがこれまでのビビッドのような色に感じられる。違和感があるなら、スタンダードではなく、ニュートラルで撮影したほうがいいだろう。
今回は主な撮影をスタンダードで行なったが、それでもテスト撮影中にカメラの液晶モニターで画像を確認した時に「え?こんな色だっけ?」と液晶モニターと実際の被写体を見比べてしまうことがあった。また、オートホワイトバランスが過敏に反応し、撮影中に前後カットで色が変更される傾向も見られる。これはニコン製デジタル一眼レフでよく見られた傾向だ。オートホワイトバランスによる色のばらつきが気になる方は、プリセットなどホワイトバランスを固定にして使ったほうがいいだろう。
効きの弱いアクティブDライティング
D3Xは、なかなか見た目のように撮れないように感じた。条件が整っていれば色乗りはいいのだが、輝度差のあるシーンに弱く、快晴の日でも逆光で撮ると空は白く、被写体は真っ暗になってしまった。こうしたシーンで、暗部と明部の階調を両立させる機能が「アクティブDライティング」なのだが、D3XのアクティブDライティング機能は最近発売されているほかのカメラに比べて効きが弱く感じられる。テスト撮影の画像をよく見ているとアクティブDライティングは暗部と明部の階調を出すというよりは、暗部はそのままに明部の階調を出す方向に動作しているように感じられる。
もっとも階調補正機能とは、基本的には撮影した画像に暗部を再現するレタッチを施す機能だ。スタジオでの使用を強く意識したD3Xでは、こうしたレタッチは撮影後にきちんとカラー管理されたモニター上で行ない、カメラ上では効きを意図的に弱くしているとも考えられる。しかし、用途によってはカメラ内だけで完結したいというケースもあるため、もう少し効きの強いモードも用意してもらいたいところだ。