カシオ計算機から高速連写、高速ムービー機能を搭載したデジタルカメラ「HIGH SPEED EXILIM(エクシリム) EX-FH20」が発売された。オープン価格だが、発売日の9月19日現在、7万4,000円程度で販売されているようだ(マイコミジャーナル価格情報の平均価格)。
EX-F1の弟分に収まらない
高速連写といえば、同じカシオの「EXILIM PRO EX-F1」が有名だが、このEX-F1の弟分に当るのが今回のEX-FH20である。EX-F1は好評のようで、カシオは今回のEX-FH20と合わせ、「HIGH SPEED EXILIM」というシリーズ名を立ち上げている。
EX-F1とEX-FH20のスペックを簡単に比較してみよう。高速連写はEX-F1の最高60枚/秒に対し、EX-FH20は最高で40枚/秒。連続撮影枚数はEX-F1が最高で60枚、EX-FH20が最高40枚。それぞれ最高速で1秒間撮影できることになる。しかし撮影できる画素数はEX-FH20のほうが上で、EX-F1は600万画素(フル画素)なのに、EX-FH20は40枚/秒では700万画素、30枚/秒以下では800万画素での撮影が可能となる(フル画素は有効910万画素)。EX-FH20のほうが連写速度は少し遅いが、そのぶん画素数は多いわけだ。
ハイスピードムービーは、フレームレート、ピクセル数ともEX-F1に軍配が上がる。例えば最高フレームレートはEX-F1が1,200fpsなのに対し、EX-FH20は最高で1,000fps。30fpsのピクセル数はEX-F1の512×384ピクセルに対し、EX-FH20は480×360ピクセル。また、ハイビジョン動画はEX-F1が1920×1080ピクセル、60fpsのフルHD動画が可能なのに対し、EX-FH20は1280×720ピクセル、30fpsのみとなる。
しかしEX-FH20が上まわっている点もある。光学20倍ズームだ。EX-F1は35mm判換算約36-432mm相当の12倍ズームだが、EX-FH20は約26-520mm相当の20倍ズーム。連写や動画を特長とするカメラにあって、高倍率ズームは強い味方になるはずだ。実際、EX-FH20を試用していて、焦点距離に不足を感じたことは一度もなかった。
EX-FH20は、EX-F1並みの高性能をより幅広いユーザーに提供するという狙いのようだが、高画素や高倍率ズームで静止画も十分以上に撮影できるEX-FH20、高速連写・高速動画のスペシャルマシンEX-F1、という分け方もできるのではないだろうか。
「ベストショット」に組み込まれたユニークな機能
もう少しEX-FH20の機能を見てみよう。シャッターボタンを押す前のシーンが撮影できる「パスト連写」、「パストムービー」機能を装備する。これはシャッターボタンの半押しで撮影をスタートしてバッファーに溜め、全押しに(レリーズ)した瞬間からさかのぼって画像を記録するもの。シャッタータイミングを逃さない、強力な機能だ。連写では最大40枚、ハイスピードムービーでは最大2秒、STD/HD動画では5秒までレリーズ以前のシーンを撮影する。
強力な連写を応用した機能もたくさん用意されている。「ハイスピード手ブレ補正」「ハイスピード夜景」は、高速連写した複数の画像を位置合わせしながら合成。センサーシフト式の手ブレ補正と相まって、よりブレの少ない撮影が可能になる。同様に「デジタル流し撮り」も高速連写した画像を合成。被写体はブレず、背景が流れた写真になる。
逆に被写体が動いた軌跡を1枚に収めるのが「マルチモーション」。動いた被写体の部分だけを切り抜き、ひとつの画像に合成する。これはEX-F1にも用意されてないユニークな機能だ。「ハイスピード手ブレ補正」なども含め、これらは「ベストショット」機能に含まれている。ベストショットは撮影方法まで含めた絵づくりの基本的な機能で、専用ボタンも設けられている。
もうひとつEX-FH20の特長は、バッテリーに単3形電池を使用することだろう。市販のアルカリ乾電池が使えるから、バッテリーが切れてもすぐに調達できる。もちろん通常は充電式のニッケル水素電池を使うのがいい。
最後は価格について。EX-F1の高速性能は驚愕に値するといっても、価格はそれなりに高く、11万7000円(9月19日現在、マイコミジャーナル価格情報の平均価格)。一眼レフのレンズセットがラクに変えてしまう価格だ。EX-FH20は7万4,000円。他では得られない高速機能がこれで手に入るのだから、コストパフォーマンスはとても高いのではないだろうか。