マニュアルフォーカスをもっと使いやすく

EX-FH20はユニークなデジタルカメラである。他のコンパクトはもちろん、一眼レフでも撮れないような写真が当たり前に撮影できてしまう。加えて20倍ズームも手に入れた。EX-F1ともまた少し違った世界観を持ったカメラである。

EX-FH20の得意なフィールドは"作り込み"だ。それはスタジオでセットを組むような場合もあるが、屋外でも特定のシーンに合わせて用意周到に準備し、ピンポイントでタイミングを図るような使い方だ。わかりやすいところでは運動会や野鳥撮影などが代表的なターゲットだろうか。というのも、撮像感度の幅や、少々時間のかかるフォーカスなど、デリケートな面を持っているため。これは高速性能と超望遠という武器を得た宿命でもある。スナップなどの反射的な撮影よりも、息を殺してその瞬間を待つような撮影が向いている。

要望をひとつ上げるなら、マニュアルフォーカスを使いやすくしてほしいと思う。この使い方を突き詰めていくと、マニュアルフォーカスのほうが使いやすいと思うこともあった。例えば何かが飛び出してくる虚空にピントを置いておくといった場合だ。現状ではマニュアルフォーカスの動作ステップが粗く、少々合わせづらい。このカメラは初心者が初めて手にするカメラとは考えづらい。コンパクトや一眼レフ、でなければビデオカメラの経験者が手にするのではないか。であれば、マニュアルフォーカスもそれほど苦ではないはずだ。

あとは、何を撮るかだ。撮影者が考えれば考えるほどこのカメラは期待に応えてくれる。むしろカメラ以外の趣味を持っている人に最適かもしれない。ゴルフでも、バイクでも、山歩きでもいい。そういった趣味の中で時間を切り取るように、もしくは引き伸ばすように記録しておきたい瞬間はないだろうか。それが思いついたら、まずはカメラ屋へ行ってEX-FH20を手に入れてほしい。

コンパクトでも、望遠であれば前後をぼかした撮影が可能になる
一枚撮影 / 9M+F(JPEG) / 44.4mm(251mm相当) / 絞り優先AE(F4.5、1/500秒) / ISO 100 / WB:オート

910万画素で、産毛のような微細な部分も写し取る
一枚撮影 / 9M+F(JPEG) / 8.7mm(49mm相当) / 絞り優先AE(F3.3、1/200秒) / ISO 100 / WB:オート

中華街で見つけた石像。石の質感がとてもいい
一枚撮影 / 9M+F(JPEG) / 32.6mm(184mm相当) / プログラムAE、補正+0.3EV(F4.3、1/100秒) / ISO 400 / WB:オート

ベランダから人形が2体、外を眺めていた
一枚撮影 / 9M+F(JPEG) / 32.6mm(184mm相当) / 絞り優先AE、補正-0.3EV(F6.1、1/160秒) / ISO 400 / WB:オート

幾何学的な白い階段。プラス補正で白く飛ばしたが、階調の繋がりは悪くない
一枚撮影 / 9M+F(JPEG) / 4.6mm(26mm相当) / 絞り優先AE、補正+0.7EV(F6.2、1/100秒) / ISO 200 / WB:オート

並木をはさんで人力車とクルマが走る
一枚撮影 / 9M+F(JPEG) / 4.6mm(26mm相当) / 絞り優先AE(F6.2、1/100秒) / ISO 200 / WB:オート

噴水のある中庭
一枚撮影 / 9M+F(JPEG) / 11.4mm(64mm相当) / 絞り優先AE(F7、1/100秒) / ISO 200 / WB:オート

休むカモメ。望遠の圧縮効果で重なっているように見える
一枚撮影 / 9M+F(JPEG) / 92.0mm(520mm相当) / 絞り優先AE、補正-0.7EV(F8、1/800秒) / ISO 400 / WB:オート

巨大なビールのオブジェ。思いきりプラス補正で撮影
一枚撮影/9M+F(JPEG) / 17.6mm(100mm相当) / プログラムAE、補正+2EV(F4.4、1/320秒) / ISO 100 / WB:オート

異国風なカエルが目に止まった
一枚撮影 / 9M+F(JPEG) / 17.6mm(100mm相当) / プログラムAE(F3.9、1/160秒) / ISO 200 / WB:オート

中華街のパワーを感じる
一枚撮影 / 9M+F(JPEG) / 11.4mm(64mm相当) / 絞り優先AE、補正+0.7EV(F7、1/100秒) / ISO 200 / WB:オート

お寺には提灯が並んでいた
一枚撮影 / 9M+F(JPEG) / 20.8mm(117mm相当) / 絞り優先AE、補正+0.3EV(F7.4、1/125秒) / ISO 200 / WB:オート

作例撮影 : 加藤真貴子(WINDY Co.)
レポート : 西尾 淳(WINDY Co.)