高倍率のためかフォーカスはちょっと弱い
動画や連写以外、一枚撮影を中心に各機能をチェックした。まずズームについて。ズームはスムースで使いやすい。20倍もあるモーター駆動の高倍率ズームでは、中間で止めたいときに苦労することも多いが、FEX-FH20は使いやすかった。
フォーカスの速さは、ズーム倍率が大きいことを考えると一般的なところだろう。コントラストの低い被写体は苦手のようだ。もうひとつ、ピントが合わないと感じさせるのは最短撮影距離の変化だ。ワイド端では約40cmまで寄れるが、テレ端では約160cmが必要になる(通常のモード)。ワイド側でピントが合っても、もう少し大きくしようとズームするとピントが合わないことがあるが、これも高倍率ズームの性である。
マクロモードではワイド端で約12cm、テレ端で約150cmまで近寄れる。しかし通常モードでも近すぎてピントが合わないと判断すると、自動でマクロモードの領域まで入ってピントを合わせてくれる(オートマクロ)。さらにスーパーマクロもある。これは約57mmに焦点距離が固定される代わりに、レンズの直前1cmまで被写体に近寄れる。ちょっとすごい。
手ブレ補正もチェックしたが、だいたい2段分程度の効果が確認できた。しかし実際に屋外で撮影した場合、もっと効果があるように感じられた。500mm程度の超望遠でも、けっこうな確率でぶれずに撮影できた。
ベストショットでもマクロモードが選択できる |
スーパーマクロで撮影。驚くほど細部まで撮影できる |
手ブレ補正の効果をチェックした |
左の結果をまとめたもの。手ブレ補正のオンとオフでヒット率を比較したところ、2段程度の効果が確認できた |
撮像感度オートは上限ISO 200
レンズの歪曲はそれほど強くない。ワイド端では樽型収差が現れ、だいたい30-40mm相当で歪曲がなくなり、それ以上望遠になるとゆるい糸巻き収差が現れる。望遠側になってしまえば、100mmでも500mmでもそれほど歪曲の強さは変わらないようだ。
高感度撮影時のノイズは、ISO 400あたりまではほとんど目立たず、ISO 800では赤や青の色ノイズが発生、ISO 1600ではざらつきも発生してくる。これは撮像感度を自動にした場合の変化を見てもわかる。ISOオートでは上限が設定できないが、一枚撮影の場合、どんなに暗くてもISO 400より上がらない。シャッター速度がどんどん伸びていく。もちろんシャッター速度の稼げない連写や動画の場合はそれ以上に上がるのだが、きれいに撮影したいなら、撮像感度は低く抑えたい。
ベストショットを使いこなそう
EX-FH20の画像は、標準では少々鮮やかさが強いように感じた。一眼レフに用意されているようなカラーモードは持たないが、画質設定メニューで「彩度」や「コントラスト」が個別に設定できる。ここで「彩度」を少し下げるとずいぶん落ち着いた絵になるようだ。
また、EX-FH20には「ダイナミックレンジ」機能がある。試してみたところ、ダイナミックレンジそのものが拡がるわけではないようだが、暗部が持ち上がり、つぶれがちな被写体がちゃんと見えてくる。逆光時には便利そうだ。
「風景」や「ポートレート」といったいわゆるシーンモードは、「ベストショット」機能のなかにたくさん用意されている。取扱説明書に一部を除いてベストショットそれぞれの説明がないのが不思議だが、メニューを眺めると「人物」や「風景」、「子供」、「スポーツ」、「紅葉」、「マクロ」など、18種類も並んでいる。
なかでも楽しいのは、連写を応用した「マルチモーション」や「デジタル流し撮り」だ。マルチモーションは動いている被写体を切り抜き、動いていない背景の上に重ねて1枚の画像にする機能。簡単にいえば合成だが、多重露光のように背景が明るくならないし、シャッターひとつででき上がるのがいい。デジタル流し撮りは連写した画像を合成することで、より効果的な流し撮り撮影になるというものだ。そのほか、「ムーブイン連写」なども試してみたが、うまく撮影できなかった。慣れとコツが必要のようだ。