オリンパスから「E-520」が登場した。コンパクトなボディに手ブレ補正機構やライブビューを詰め込んだ高機能なデジタル一眼レフだ。発売開始は5月29日。価格はオープンだが、6月13日現在、マイコミ価格情報の平均価格などではボディのみが約10万4,000円、 「ED 14-42mm F3.5-5.6」をセットにしたレンズキットが約8万5,000円、さらに「ED 40-150mm F4.0-5.6」を加えたダブルズームキットが約10万4,000円で販売されているようだ。
手ブレ補正を備えたE-420
オリンパスのE-520を一言でいうと、「E-420」に手ブレ補正を搭載したモデルということになる。E-420はグリップ部を薄くした独自のデザインで、フォーサーズであることと相まって、他では真似できないコンパクトさを実現した。現在でも非常に人気が高い。
対してE-520は極めてスタンダードなスタイルだ。しっかりしたグリップと標準的な容量のバッテリー(BLM-1:1500mAh)を装備する。機能的な最大の違いは、ボディ内に手ブレ補正機構を搭載することだ。そのほか、撮像素子や画像処理エンジン、ライブビュー機能など、スペックはE-420とほとんど変わらない。以下、E-420と同一の部分は端折ることもあるので、E-420の記事も合わせて参照してほしい。
また、E-520は「E-510」の後継モデルでもある。ダイヤル類のデザインこそ変更されたが、ボディサイズはまったく同じ(幅136mm×高さ91.5mm×奥行き68mm)。重さのみ5g重くなったが(475g)、これもほとんど同じとしていいだろう。
これは「E-410」とE-420の関係に近い。ボディはほとんど変えず、機能追加や性能向上を図っている。非常に実質的なやり方であり、E-520およびE-420の完成度を高めている要因のひとつでもある。
E-520はオリンパスの主力モデル
もうひとつ、E-520をライバルとの比較で見てみよう。現在、デジタル一眼レフの中心的な市場ともいえるのがレンズキットで10万円以下のクラスだ。もちろんE-520もここに含まれる。それぞれ6月半ばでの実売価格をまとめたのが下の図だ(一部旧モデルは省略)。ちなみにキヤノンとニコンはボディ内ではなく、レンズ側に手ブレ補正機構を搭載している。
このクラスでも手ブレ補正+ライブビューがメインになりつつあり、E-520はその中でももっとも安いモデル、になるはずだった。キヤノンが「EOS Kiss F」を発表したために、値段的な優位性は薄らいでしまった。E-420の人気がとても高いとはいううものの、コンパクトなボディや価格の安さが要因と考えられる。すると手ブレ補正+ライブビューの主戦場で戦うのはE-520であり、それだけオリンパスの期待を背負ったモデルでもあるのだ。
レンズキット(本体+レンズ1本)で実売10万円以下のモデルを比較した。価格はマイコミ価格情報の平均価格(2008年6月20日現在)より。価格はショップや時期により大幅に異なるので、あくまで参考として見てほしい |
E-520と同時に発表された「ED 9-18mm F4.0-5.6」。2008年年内発売予定。フォーサーズのカメラに装着すると18~36mm相当の画角になる。ライブビューのコントラスト検出AFにも対応する予定。価格は未定だが、オリンパスのスタンダードシリーズということなので、それほど高価ではないはず |
必要にして十分なスペック
E-520の仕様をざっとおさらいしておこう。撮像素子は17.3×13.0mmの有効1000万画素 Live MOSセンサー。35mm版の画角換算はちょうど2倍になる(14mmなら28mm相当)。マウントはもちろんフォーサーズだ。連続撮影速度は約3.5コマ/秒。撮像感度はISO 100~1600、シャッター速度は最高で1/4000秒となる。モニターには約23万ドット2.7型の半透過型TFTカラー液晶を使用する。
センサーシフト式の手ブレ補正機構を搭載。最大で約4段分の効果があるという。また、焦点距離を入力することで、フォーサーズ以外のレンズ(旧OM系など)でも手ブレ補正が使用できる。また、縦位置での流し撮りモードも装備した。
ライブビュー機能も搭載。オートフォーカスは、撮像素子に写った像からピントを合わせるコントラスト検出方式を搭載。ファインダー使用時と同じ位相差式も使用できる。また、E-420同様に最大で8人まで同時に検出する顔認識機能も搭載ししている。
また、従来どおり超音波で撮像素子前面のフィルターを振動させ、ゴミをふるい落とす「SSWF」(スーパーソニックウェーブフィルター)を装備する。これは手ブレ補正機構とはまったく別に用意されている。