「仕上がり」はE-420と同じ5種類
E-520のカラーモードである「仕上がり」は、カスタムを別にすると「ビビッド(VIVID)」「ナチュラル(NATURAL)」「フラット(FLAT)」「ポートレート(PORTRAIT)」「モノトーン」の5種類。標準は「ナチュラル」だ。各モードで色やコントラストは変化するが、絵づくりそのものが変わってしまうような変化はない。全体にハデさを抑えた絵づくり(後述)ということもあって、鮮やかな「ビビッド」も十分実用になる。シーンや好みによって使い分ければいいだろう。
「仕上がり」は5種類。各モードについてコントラストやシャープネスが変更できる。以下は、「仕上がり」を変えて撮影した。給水塔の写真は空の色の変化を見てほしい(プログラムAEで撮影) |
白飛び、黒つぶれを抑える「階調/オート」
明るさを変化させる「階調」機能もE-420同様に装備する。「オート」を選択すると白飛びや黒つぶれを抑える働きをする。コントラストの強いシーンで便利な機能だ。ただ、明るい側が暗く、暗部が明るくなるため、通常のシーンで使用するとヌケが悪くなる可能性もある。やはり「標準」を常用し、いざという場合に「オート」にすべきだろう。
また、「ハイキー」「ローキー」も装備する。その名のとおり、全体を明るく、もしくは暗く描写する機能だ。しかしこれは明るさを補正するのではなく、強調するもの。例えば「ハイキー」は暗いシーンではなく、明るい被写体に有効だ。そういった意味では「オート」とは逆の働きともいえる。
「階調」を変えて撮影。左から順に「標準」「オート」「ハイキー」「ローキー」 |
「階調」を変えて撮影。左から順に「標準」「オート」「ハイキー」「ローキー」 |
E-3系はE-520で完成したか?
絵づくり全体について。このところE-420、E-520と立て続けに使ってみてわかったのは、両モデルとも絵づくりの基本がE-3にあることだった。
下の「ダイナミックレンジ」と記したのグラフは、明るさを変えてマクベスチャートを撮影し、各色の明度の変化をまとめたものだが、各線が直線に近く、明るい側ではマゼンタよりもシアンのほうが上に位置する。これはE-3やE-420にとてもよく似ている。E-510までのオリンパスでは、各線が大きく湾曲し、シアンよりもマゼンタが常に上に位置していたが、それとは全く違っている。
また、ヒストグラムを4つ並べた図は、彩度の高い被写体を撮影し、赤い部分のヒストグラムをまとめたもの。若干グリーンが抑えられて赤に青みが乗る傾向はあるが、「ビビッド」ではほとんど補色がなくなることや、ほとんど主色が張りつかないことなど、これもE-3、E-420とよく似ている。
しかし実際に撮影した画像を見ると、E-420がE-3の画像から青を抜いたような色だったのに対し、E-520ではそういった感じはなく、E-3の画像の角を丸めたように感じる。E-3は色が立ちすぎていて、「ビビッド」は少々使いづらかったが、E-520では「ナチュラル」だとちょっとおとなしいぐらい。とても素直で使いやすい特性になっているし、「ビビッド」でもちゃんと実用になる。また、露出がはまると質感がとてもリアルに表現される。なんというか、E-3で走りすぎたので、E-420で戻ってきたがバランスがちょっと崩れ、E-520で完成した、という感じなのだ。
しかしここで疑問がひとつ。E-520の絵づくりは本来E-420と同じであるはず。メーカーに聞い合わせてみたところ、やはり絵づくりは同じだという。しかしどう見ても違う。個体差だろうか? 申し訳ない。結論は次の撮影の機会まで保留にしたいと思う。