動いている様子が分かる手ブレ補正

E-520は手ブレ補正機能を搭載する。というか、E-420との違いとしては、これが最大・最強である。センサーシフト式のボディ内手ブレ補正機構で、最大で4段相当の効果があるという。オリンパスの場合は撮像素子だけでなく、ゴミ取り機構もいっしょに動かさなくてはならないから、これはけっこう大変だろう。ちなみに初期状態では手ブレ補正がオフになっているので、オンにするのを忘れないように。

手ブレ補正がどのくらい効果があるか、チェックしたのが下のグラフ。シャッター速度ごとに手ブレ補正のオン/オフでどのぐらい手ブレせずに撮影できたかを調べた。今回は4人で10カットづつ撮影している。結果、最大で約2.5段の効果が確認できた。十分な手ぶれ補正効果だと思う。

使っていると、なんというか、カメラが強力に像を止めようとしているのがわかる。例えば1~2秒の長いシャッターになると、さすがに像はブレてしまうのだが、開いている間ずっと"ギュルギュル"と手ブレ補正機構が動いているのが伝わってくるのだ。

また、E-510では通常の手ブレ補正モード「I.S.1」に加え、流し撮りモード「I.S.2」も装備していた。ただしこれはカメラを横位置に構えての流し撮りを想定したもので、横方向の補正機構を停止し、縦方向のみ補正するというもの。そのため縦位置での流し撮りでは、手ブレ補正オフが推奨されていた。対してE-520では、縦位置での流し撮りモード「I.S.3」が追加された。

この流し撮りモードも試してみたが、明確に違いが現れた。縦位置の場合、「I.S.2」ではうまくいかないのに、「I.S.3」にすると普通に流し撮りができる。横位置であればその逆だ。標準の「I.S.1」では、横位置・縦位置ともうまくいかない。走るクルマのホイール下部、つまり瞬間的に動きが止まる部分を狙っているかのようにそこだけ止まり、あとは全部ぶれてしまう。流し撮りを行なう場合、このモード設定は鉄則と考えていいだろう。ただ、縦位置・横位置を頻繁に変えて流し撮りするような場合、設定の切り替えが面倒かもしれない。それならいっそのこと手ブレ補正オフをお勧めする。流し撮りは、実のところあまりブレないものだ。

ライブビューでももちろん手ブレ補正は効く。ただし撮影前は、シャッター半押し(オートフォーカス作動)では効果が見えない。手ブレ補正は撮影直前に動作するようだ。ただし「IS」ボタンを押すと動作音が聞こえ、モニター右上の「IS」表示が緑色になる。また、手ブレ補正オンの状態で電源を落とすと、ブルブルと振動する。これは手ブレ補正の初期化作業とのことで、異状ではない。

手ブレ補正のテスト画像サンプル。実際には、1/250秒から2秒まで、それぞれのシャッター速度で手ブレ補正オン/オフの両方で試している。サンプル数は1人10カット×4人=40カット

手ブレ補正テストの結果。最大で約2.5段の効果があった。たとえば1/15秒では手ブレ補正オフで10コマ成功したが、オンにすると1/4秒でも同程度の成功数が得られた。つまりここでは約2段の効果があったということ。全体に安定した補正効果といえる

「IS」ボタンを押すと、手ブレ補正の設定メニューが表示される。標準ではオフになっている

焦点距離を入力することで、フォーサーズ以外のレンズでも手ブレ補正が使用できる。設定可能な焦点距離は8mmから1000mm

手ブレ補正をオンにするとスーパーコンパネの右上に表示が現れる(赤○の部分)

流し撮りのサンプル。標準の「I.S.1」ではほとんどうまくいかない

「I.S.2」での流し撮り。横位置ならきれいに流し撮りできるが、縦位置はダメ

「I.S.3」での流し撮り。これは「I.S.2」と逆で、縦位置で流し撮りが可能

現在、もっとも完成度の高いライブビュー

ライブビューはE-420同様、よくできている。オートフォーカスは撮像素子に写った像からピントを探すコントラスト検出式(イメージャAF)、ファインダー撮影と同じAFユニットを使う位相差式(全押しAF)、両者を併用する「ハイブリットAF」の3種から選択できるが、初期設定でもあるコントラスト検出がいちばん素直で使いやすい。フォーカスの速さなら位相差式のほうが上だが、速さを求める撮影ならライブビューではなく、ファインダー撮影に切り替えるべきだ。

ただ、コントラスト検出AFは、半押しの度に無限遠まで走査して戻ってくる。一旦合わせて確認し、よしレリーズ、と思ってももう一度サーチし直す。なんだかもったいない感じがする。もう少しうまく躾られるといいと思う。

また、コントラスト検出AFは使用できるレンズが限られている。現在のところ、レンズキットに含まれる「ED 14-42mm F3.5-5.6」「ED 40-150mm F4.0-5.6」と、パンケーキの「25mm F2.8」、あとはパナソニックレンズが数本程度。また、年内発売予定の「ED 9-18mm F4.0-5.6」も対応する予定だ。オリンパスのサイトに詳細が掲載されている。

顔認識(顔検出)も搭載する。なかなか楽しい機能のだが、わかりづらい部分もある。たとえば位相差式AFを選んでいても、スーパーコンパネで顔認識をオンにすると、認識を開始する。しかし位相差式はAFポイントが3点しかないため、認識した顔の位置からもっとも近いAFポイントが選択される。これはちょっといだけないだろう。また、位相差式/コントラスト検出式の両方について、AFポイントを固定している場合でも顔認識は動作する。AFポイントと別に顔認識の白枠がモニター上を動くのだが、リレーズするとそれは無視されて指定のAFポイントでピントを合わせてしまう。

結局のところ、スーパーコンパネやメニューからの単独の顔認識機能は使わず、Fnボタンに割り振られた「フェイス&バック」を使うのが現実的だ。これは顔認識だけでなく、背景との明るさのバランスも調整する機能。そのためには、測光=評価測光、階調=オート、AF=コントラスト検出、AFポイント=自動判断といった設定が必要なのだが、Fnボタンひとつですべてが切り替わる。これなら悩まなく使えるはずだ。

ただ、もうひとつ難点があって、INFOボタンによる表示モードによってはフェイス&バックに切り替わらない。拡大表示(部分表示)や比較表示では切り替わらなくても仕方がないと思うが、ヒストグラム表示ぐらいは切り替わるようにしてほしい。というか、ライブビューでの[INFO]の情報表示がまだ未完成に感じられる。思いついた機能を全部ここに並べた感じ。拡大表示は明らかにフォーカス関係だし、比較表示は露出補正グループやホワイトバランスグループに入れるべきだろう。表示切り替えでなく、設定変更なのだから。

と、E-420に続いて2機種めということもあって、些末な部分が気になってしまうが、ライブビューそのものはとても使いやすく、現在のところ(EOS Kiss Fは未使用)、もっとも進んだライブビューであることは間違いない。

ライブビューに切り替えるには、「ライブビュー」を押すだけ。電源を落とせば次はライブビューで起動する

ライブビューの画面。さすがにスーパーコンパネを表示するわけにいかないので、右側に設定情報が並ぶ(一部を残して消える)

カメラを花壇のなかに置いて撮影。ライブビューならこういったローアングルからの撮影も簡単

カメラを高く持ち上げてハイアングルから撮影。モニターを下から見るのでフレームはアバウトになるが、ノーファインダーよりはるかに安心

ライブビューでのオートフォーカスは「カスタムメニュー1」→「A AF/MF」→「LV中AF」で選択する

コントラスト検出(イメージャーAF)でのAFポイントは10点。それぞれのエリアは大きめ

ホワイトバランスなどを変更すると、色の変化がダイレクトに反映される

ライブビュー時に「INFO」ボタンを何度か押すとこの「拡大表示」になる。場所を指定し、「OK」ボタンで拡大

拡大表示では、AFポイントがどこにあっても、拡大した部分でピントを合わせる。マクロやマニュアルフォーカスで便利

これは「比較表示」。露出補正のほか、ホワイトバランスの違いも一覧できる

顔認識を使うなら、「フェイス&バック」がいい。標準で「Fn」ボタンに割り振られている

顔認識でピントを合わせた。ピントが合っても枠は白のまま変わらず、右上に緑の○が表示される

罫線表示の「方眼」。ほかに「黄金分割」「目盛」が可能。「カスタムメニュー1」→「D 表示/音/接続」→「罫線表示」で切り替える