――その努力が実って、入社3年目で『究極のスポーツ大戦! ブーストイ★スタジアム』(※)が通りました。
(※)…最新テクノロジーを駆使したスポーツ用具を使用した芸能人がアスリートと対決する番組。21年4月3日放送。
野球に育ててもらったので、野球の企画が通ったのが良かった反面、番組作りの難しさを痛感しました。今振り返ると、先輩たちのように番組の終盤までどう見せるかをロジカルに考える感覚がなくて、自分が面白いと思って見せたいものをつないでいくというやり方をしていたんです。そういう反省もあったのですが、やっぱり打席に立たないと見えない景色というのがすごくあるなと思ったので、あのタイミングで番組をやらせてもらえたことは、自分の中で大きかったです。
――最初は企画書で編成にご自身の名前を売っていましたが、番組になって放送されることで局内に名前が広がりますよね。
とはいえ土曜日の夕方の放送で見ていない人もいると思ったので、いろんな人にOAの映像データをメールで送っていました。当時の自分のフルスイングのフォームを見てもらう感覚で、めちゃくちゃ聞きに行きましたね。そうした中で、制作の大先輩のトシさん(高橋利之氏=『行列のできる相談所』など)にもフィードバックをもらいました。
――高橋さんとは面識があったのですか?
研修の時にちょっと挨拶していただいたのですが、『ブーストイ★スタジアム』の後に企画が通った『スポーツ漫画みてぇな話』(※)という番組がその前から放送されていて、その初回の後に電話を頂いたんです。「全部漫画にする発想はなかった。俺が3年目の時にできたかって言われたら絶対できてないからすげえわ」ってまず褒めていただいた後に、「俺らってテレビ屋だから、やっぱり抜け(決め)は映像だな」と言われて、当時3年目の自分には理解が追いつかなかったんですが、今見るとその通りだと思いますね。
(※)…スポーツ選手の知られざる「漫画みてぇな」エピソードを完全漫画化して紹介する番組。
――高橋さんはスポーツ局出身だったと思いますが、そこでシンパシーを感じる部分があるのでしょうか?
そう感じていただいていたらありがたいです。ただ、最初は急に知らない番号から「高橋です」ってかかってきて、どこの高橋さんか分からなくて(笑)。話しぶりが先輩っぽいなと思って、野球部にも先輩に高橋さんがたくさんいるのですが、話してるうちに「トシさんだ!」となって。それから、自分の番組がOAされると毎回電話を頂いています。収録にもいらっしゃって、『タイムリープ』の第1弾のときにも来てくださいました。すごい先輩がいつも気にかけてくれて本当にありがたいです。
――フィードバックをくれる高橋さんのほかに、バラエティの番組作りというのを教えてくれた方はどなたになりますか?
安島(隆、『たりないふたり』など)さんですね。最初に企画を出しまくっていた頃、それを選ぶ側の編成部の班長だったのですが、その後スポーツ局に異動されてきた初日に飛び込みで「いろいろ教えてください!」とお願いして、2日目から企画会議を一緒にやらせてもらいました。
それから2年くらい、レギュラーの『news zero』の企画をはじめ結構アドバイスを頂いて、『燃えろ!番狂わせスタジアム』(23年3月26日放送)という番組を一緒にやらせてもらったのですが、構成の決め方のロジックとか、具体的な話の運び方とかがちょっと衝撃で。安島さんの作り方を学べたのは、入社して7年の間ですごく大きかったです。