――ネット配信が勢いを増して「テレビはオワコン」なんて言われることもありますが、若い世代の小宮さんから見てテレビの役割というのは、どのように考えていますか?
ネットがすごいと言われてますが、『トークサバイバー!』(Netflix)も佐久間さんだし、『ドキュメンタル』(Prime Video)も和田(英智)さんだし、テレビの第一線の人じゃないですか。だから、「テレビが終わった」と言われるのは、全然そんなことないと思いますし、受け手側の楽しみが増えているので、僕はすごくいいことだなと思います。
それに、テレビ番組って無料で見られる最強のコンテンツじゃないですか。僕は制作会社の人間なので、テレビ以外のプラットフォームもチャンスではあるんですけど、やっぱりテレビにこだわりたいと思います。テレビ局の人たちって、テレビを本気で作ってるから、カッコいいなって憧れがあるんです。制作会社には、「テレビはオワコンだ」みたいなことを言う人もいるんですけど、それは違う。結局、有名人の方もテレビに出てる人が一番強いし、テレビが一番すごいコンテンツだという思いで、変わらずやっています。
――だからこそ、先ほど『1ダフル』の話でおっしゃっていた「ネットにない情報」というのを、強く意識されるんですね。
そうですね。それはあると思います。
――32歳ということで、世代的に周りは「テレビ離れ」という感じですか?
見てない人は多いですが、今はTVerとかでめちゃめちゃ見られてるので、コアな視聴者の母数はそんなに変わってないんじゃないかなと思うんです。テレビだとザッピングされますけど、TVerはちゃんと見るじゃないですか。それに、TikTokでも回ってくるのはテレビの映像ばかりですから、いろいろ言われてますけど、やっぱりテレビはまだまだ終わってないと思います。
―― 一方で、10月からは配信連動の番組も担当されていますよね。
ME:IやNiziUのオーディションを受けていた女の子たちが、寮生活でオーディションに参加する『SEVEN COLORS』(TBS、Lemino)という番組で演出をやっています。以前、『Snow Manが豪邸でシェアハウスしてみた』(テレビ東京)という番組をやっていたのですが、それが近いイメージだということでお声がけいただき、会社は関係なく個人で携わっています。配信にも力を入れている番組なので、そうやってテレビからネットに波及していく番組が増えていけばいいなと思いますね。
それと、ぱーてぃーちゃんの金子きょんちぃとは『もっちりきょんちぃ』というYouTubeを二人三脚でやっています。「親友」ってだけでお手伝いしているのですが、「こういうことで反応されるのか」「こうやったら長く見られるのか」「若い子はやっぱりテンポが速いほうが見られるんだ」とか、すごく勉強になりますね。
――この秋から地上波の演出担当がレギュラー2本と忙しくなりますね。
先日は初めて『中居正広のスポーツ珍プレー好プレー』(フジテレビ)という歴史ある番組の演出をやらせてもらいました。先々にも特番がありますし、来年には企画したドラマもいくつか決まってまして、すでに始動してます。
――ドラマもやってらっしゃるんですね。
Leminoで乃木坂46が出演する『古書堂ものがたり』(23年)という作品で、初めてドラマのプロデューサーをやりました。これまでも『スカッとジャパン』などをやってきましたが、ドラマの文化をがっつり吸収できたので、『1ダフル』のドラマでもこれまでのバラエティドラマにはない、細かな色味にこだわったりして、ノウハウを取り入れています。バラエティの演出とドラマのプロデューサーをやってる人はあまりいないと思うので、そこも強みにしていきたいです。
――『セブンルール』ではドキュメンタリーもやられて様々なジャンルを網羅していますが、そんな中で今後こんな番組を作ってみたいというものはありますか?
お笑い番組をあんまりやったことがないので、ネタとかコントとかを撮るのに憧れはありますね。
――かつて一緒に住んでいた芸人さんたちの番組というのも、できるといいですね。
同居人たちの活躍が刺激になっているので、いつかやりたいという夢はありますね。フジテレビさんは、まさにそういうのに強い局だと思うので。
バラエティの全てが詰まっている『天才てれびくん』
――ご自身が影響を受けた番組を1本挙げるとすると、何になりますか?
『天才てれびくん』(NHK Eテレ)が大好きだったんですよ。学校から帰ったら絶対に夕方から『天てれ』を見るっていう習慣でした。音楽系とかトーク系とかコント系とか、毎日違う企画をやるので、バラエティの全てが『天てれ』に詰まってると思っていて、すごく勉強になるんです。
――民放で言うところの、いわゆる「総合バラエティ」ですよね。
そうなんです。あまりにも『天てれ』が大好きだから、天てれ戦士たちは僕にとってスーパースターなんです。大沢あかねさんに会ったとき、「あの曲のあそこが良かったんです!」って思いを伝えたら、「気持ち悪いっすね(笑)」って言われましたけど(笑)
――なかなか『天才てれびくん』を熱く語る人はいないでしょうから(笑)
実は蛙亭のイワクラさんもありえないぐらい好きで、イワクラさんと話す『天てれ』トークは最高に盛り上がります。めっちゃ好きな曲で「僕らのハーモニー」があったんですけど、それを実はうちの松本(彩夏)がやっていたという、そんな縁もありました。
――いろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、気になっている“テレビ屋”を伺いたいのですが…
『イワクラと吉住の番組』(テレビ朝日)で一緒にやっていた、小山テリハさんです。各局でお仕事をさせてもらっているんですけど、どの局の人からも「小山さんってどんな人?」ってめちゃめちゃ聞かれるんですよ。若手の中では今、業界で一番有名じゃないですかね。ものすごく仕事熱心で、深夜3~4時に当たり前にLINEして仕事の話をするんですけど、3年くらい一緒に仕事している中でちゃんとした仕事論みたいな話をしたことがなくて、小山さんの仕事術など聞いてみたいです。