――配信なども増える中で、テレビの役割をどのように考えていますか?
一時はテレビって受像機のことですか?コンテンツのことですか?ってカッコつけて考えてたんですけど、今はなるようになれって思ってます。ダメな占い師みたいなこと言いますけど、落ち着くとこに落ち着くでしょう。目の前の仕事を一生懸命やるだけです。面白い番組を作っていれば、テレビだろうがなんだろうが見てくれると信じてます。
――配信の番組も手がけられていると思いますがテレビとの違いは感じましたか?
悲しいことに、自分の限界を感じました。長年、テレビの企画ばかり考えてるので、結局テレビ的な企画しか思いつかない。例えば、開封の儀(=新製品を未開封の箱から取り出す)とかゲーム実況とかモーニングルーティーンとか、本当にYouTubeでしかやれない企画はどうしたって思いつかないんです。なぜなら、テレビの文法では面白いと思わないから。でもYouTubeの中では大正解で、世界的に流行る企画なんです。
あれは流行らそうと思って考えているわけじゃなくて、配信者の衝動ですよね。それにはどうしたって勝てない。YouTubeは世界中の人たちと一緒に「人間ってこういうのが好きだったんだ!」っていう“発見”をしていくのが面白いと思ってまして。だって子供が、見知らぬ子供がおもちゃで遊んでいるところを見るのが好きだったなんて、誰も気づいてなかった。その発見を狙ってできたらすごいと思うのですが、どうしたら思いつくのか、まだ全然分かってません。
■『魔改造の夜』でいつか世界大会を
――今後やってみたいことは何ですか?
『―カンヌ映画祭』で日本映画学校に行ったときに、脚本家の天願大介さんが、日本映画についておっしゃっていた言葉がいまだに響いているんです。「日本人は大喜利が好き。みんなが同じ価値観を共有しているから、小さな価値観のズレが楽しい。微細なセンス合戦をやって国内で評価されるかもしれないけど、国外では一撃で倒されてしまう」
これは日本のテレビにも言えるなと思いまして。なので、せっかく世界にお披露目しやすい時代になったので、アフリカの子供でもイタリアのおばあちゃんが見ても面白い番組を作ってみたいです。そういう意味で『魔改造の夜』はノンバーバル(=非言語)な企画だと思うので、いつか世界大会をやりたいです。NASAvsマサチューセッツ工科大学vsボストンダイナミクスとか最高です。
――ご自身が影響を受けた番組を挙げるとすると、何ですか?
先ほど言った『IQエンジン』なんですけど、すごい好きな番組っていうと『のど自慢』(NHK)です。まずタイトルがめちゃくちゃいいし、何が最高って出てる人がみんな幸せそうなんです。超楽しそう。嫌がってる人がいない。生放送のドキドキもあるし、一般の方たちの素朴な人柄も面白いし、小田切アナウンサーの時間さばきのプロの妙技も楽しめる。『のど自慢』にテレビのいいとこ全部詰まってる説です。
――いろいろお話を聞かせていただき、ありがとうございました。最後に、気になっている“テレビ屋”をお伺いしたいのですが…
『BAZOOKA!!!』に、岡宗さんの他にもう1人モンスターがいたんです。それが和田英智さん。『学校へ行こう!』(TBS)とかをやられていたバラエティ怪獣で、今は『ドキュメンタル』(Amazonプライム・ビデオ)とかもやっている。芸人さんからもジャニーズの人たちからも信頼されている、なんでも面白くしちゃう変態です。トーク力がエゲつなくて、テレビマンじゃなかったら、天才的な詐欺師になってたと思います。あと和田さんのロケは天下一品で、『BAZOOKA!!!』の「坂田の乳吸い」は傑作なので、ぜひみなさんにも見てほしいです。