高級ではないけれど、多くの人に愛されている料理。決して特別ではないけれど、人を笑顔にする料理。食べたあと満“腹”になり、お“ふく”ろの味を思い出し、幸“福”感に包まれる……そんな料理を提供する全国各地のお店を訪れて、心をあったかくしてくれる味や人々の交流を紹介するJ:COMチャンネルの人気番組『ふくあじ』。その特別編『ふくあじ旅のススメ~福岡編~』が、2025年1月2日夜20時より放送されます。
今回の福岡編では、“ふくあじ”の名付け親であり番組の企画・監修を務める放送作家・脚本家の小山薫堂さんと、旅をライフワークとする俳優の山口智子さんが美食の街「福岡」を訪れ、地元で愛される食や文化に触れながら素敵な人々と出会います。マイナビニュースではその様子を徹底密着取材! ロケ風景の写真とともに、お二人の“ふくあじ旅”をレポートしていきます。
地元で人気の大衆食堂で素敵な笑顔と味に包まれる
今回の“ふくあじ旅”は、福岡市の中央部を流れる博多川のほとりからスタート。案内人役の小山薫堂さんが待ち合わせ場所に到着すると、そこには今日の撮影を待ちきれないといった様子の山口智子さんの姿が! さっそく挨拶を交わして談笑する小山さんと山口さん。旅好きで知られるお二人だけあって、出発前から楽しみにしている様子が伝わってきます。
小山さんの運転でドライブしながら、まずお二人が向かったのは、親子二代で営む大衆食堂「喰焼処(くやくしょ)」。以前『ふくあじ』に取り上げられたことがあり、その放送を見た小山さんが気になってあとで実際に足を運んだお店だそうです。現在は二代目の息子・御手洗順也さんとその妻・慶子さんが切り盛りしていますが、ご夫婦の笑顔がとても印象的だったといいます。
小山さんのその言葉通り、お店のドアを開けたお二人を迎えたのはご夫婦のあふれんばかりの笑顔! その人柄のよさが伝わってくる歓迎ぶりに、小山さんと山口さんの表情も自然とほころんでいました。
お店はもともと焼肉屋から始まったそうで、店名も「喰う」「焼く」「処(ところ)」をもじり「くやくしょ」と読ませているとのこと。読みが同じ「区役所」はまったく関係なく、ダジャレ好きの父・勝さんのネーミングセンスで付けられた名前だという話に店内は大きな笑いに包まれていました。
お店のメニューは30種類にもおよびますが、小山さんのイチオシは「焼ちゃんぽん」。山口さんにも「絶対食べた方がいい」とすすめていました。関東ではあまり馴染みがないこともあってか「焼ちゃんぽん!?」と驚く山口さん。順也さんによれば、地元である粕屋町の野菜をたっぷり使っているのがこだわりなのだとか。ほかにも常連さんの言葉がきっかけで考案したというホルモン焼+チャンポンの「ホルチャン」なども人気があるそうです。
豊富なメニューに目移りしながら、小山さんと山口さんが最終的に選んだのが「焼ちゃんぽん」と「焼めし」。運ばれてきた料理を口にして思わず笑みをこぼしながら、「おいしい!」と堪能するお二人の姿が印象的でした。
ちなみに、「喰焼処」の順也さんと慶子さんは、今年還暦を迎えた小山さん、山口さんと同年代。それを知って話を交わすうちにすっかり意気投合した4人は、店主夫婦の馴れ初めの話や、山口さんが出演したドラマの話などで大いに盛り上がっていました。
神社を参拝して博多の伝統に触れる
「喰焼処」のあったかい味とお店の人の笑顔に名残惜しそうな表情を見せつつ、小山さんと山口さんが次に向かったのが、博多でいちばん古い歴史を持つ総鎮守の「櫛田神社」。博多っ子からは「お櫛田さん」と呼ばれて親しまれ、商売繁盛や家内安全、不老長寿のご利益があると言われています。
神社の入り口にある楼門に足を踏み入れると、天井には「干支恵方盤」という干支が描かれた円盤が吊り下げられていました。その中央には方位磁石の針のような矢印が取り付けられており、毎年大晦日に新しい年の恵方(縁起の良い方角)を示すよう回転されるそうです。
干支恵方盤を仰ぎ見つつ楼門を抜け、手水で手を清めたあと、不老長寿の水が湧き出すという「霊泉鶴の井戸」を横に見ながら参拝者の列に並んで拝殿に進む小山さんと山口さん。順番が回ってくると、お二人とも神妙な面持ちで神前に向かって拝礼していました。いったい何をお願いしたのでしょうか?
参拝を終えて境内を進むと、10mは超えていそうな巨大な山笠が目に入ってきました。実はこれ、鎌倉時代から780年以上続く無病息災を願う神事「博多祇園山笠」で奉納される山笠なのだそう。毎年、熟練の職人によって作り上げられ、総重量は1トンにもなるとのこと。神社の権禰宜を務める髙山定史さんの説明を聞きながら、小山さんと山口さんはこの地に脈々と受け継がれてきた歴史や人々の暮らしに思いを馳せている様子でした。
そのまま歩を進めていくと、今度は何やら行列が……。並んでいるお客さんたちのお目当ては神社南門に店を構える「櫛田茶屋」の名物「櫛田のやきもち」のもよう。せっかくなのでお二人も列の最後尾について待つことに。
順番がやってきて、笑顔で迎えてくれた店主の荒牧さんに小山さんが話を聞くと、お店は80年近くの歴史があるとのこと。毎日、ひとつひとつ丁寧に手焼きで作っているそうです。やきもちは1個から気軽に買うことができるというので、お二人も1個ずつ買って味わってみることにしました。
一口食べるなり、小山さんも山口さんも相好を崩して「めちゃくちゃおいしい!」。外のお餅はパリッともっちり、中の小豆餡はホックホク。小山さんは以前にもやきもちを食べたことはあるそうですが、焼きたては今回が初めて。「焼きたてがこんなにおいしいとは」と感激した様子でした。