シャッターボタンで撮影も快適
操作面での最大の特徴は、シャッターボタンを搭載した点です。ソニーの「Xperia 1」シリーズと同様の物理キーによるシャッターボタンで、半押しと全押しの2段階に対応。「iPhone 16」シリーズのような多機能には対応しませんが、余計な機能がないので操作は明確です。
どの場面でもシャッターボタン長押しでカメラが起動し、そのままシャッターボタン半押しでAF、全押しで撮影が可能。本体の端にあるので操作しやすいのがメリットです。
カメラ用のシャッタースイッチを搭載したということで、感触はよく、半押しも分かりやすいので、撮影が捗ります。少しだけ凹みがあるので手探りでも分かりやすいので、もう少しボタンにローレット加工を加えると明確にボタンが分かって良かったかもしれません。
気になった点は2つ。1つはAFの動作です。通常だと、半押しするとAF合わせが行われ、ピピッという音とともにAF枠が表示されるのですが、半押ししてもこれが動作しないことがありました。常にAFが動作しているので、それでもそのまま全押しで撮影でき手、ピントが外れていることはあまりなかったのですが、挙動が安定しないのは気になりました。
2つめは、安定して構えようとすると画面に親指が触れてしまい、そのためカメラが誤動作してしまう点です。カメラはシャッターボタンに人差し指をかけて3本指でグリップを握り、背面から親指で支えるのが普通の構えです。
グリップがないのはともかくとして、どうしても親指が画面に触れてしまいます。例えば「Xperia」ではこの画面のタッチをうまく制御しているようで、誤動作はあまり発生しません。「AQUOS R9 pro」の場合、画面端やシャッターボタン周辺の空白はモード切替になってしまい、撮影しようにも勝手にモードを切り替えようとしてしまい、シャッターボタンが動作しません。
シャッターボタンというハードウェアを装備したからには、ボタンを使った操作性をもう少し工夫してほしいところ。カメラのUIも従来通りなのですが、「Xperia」の「Photogラphy Pro」までとはいわないものの、ある程度の横持ちに対する工夫がほしかったところです。
そんな不満はあるものの、シャッターボタンは使いやすいので快適です。ボタンを長押ししがらスマートフォンを取り出し、そのまま構えたらすぐに撮影できるというのは便利。一般的なスマートフォンの電源ボタン2回押しもiPhoneのカメラコントロールも、場所が適切でないために使いづらく、電源ボタンだとそのままシャッターを切ることができないので、トータルではシャッターボタンの使いやすさが光ります。
一般的なスマートフォンだと、電源ボタン2回押しでカメラが起動して音量ボタンでシャッターを切るという使い方もできます。これをひとつのボタンで対応できるのが「AQUOS R9 pro」の良さで、ボリュームキーに別の機能が割り当てられるというメリットがあります。
「AQUOS R9 pro」の場合、シャッターボタン/露出補正/ズームの3つから動作を設定可能。個人的には露出補正を割り当てると、ボタンで露出を補正できるようになって一段と便利に感じました。とはいえ、決して持ちやすい体勢ではないので、やはり専用カメラのダイヤルは偉大だと感じます。
ライバルの「Xiaomi 14 Ultra」は、Photography Kitという形で物理シャッターボタン/グリップ/露出補正ダイヤルを利用できるようにしており、撮影はしやすくなっています(ただし、画面に触れてしまった場合の誤操作もあり、UIはこなれていない印象です)。それに対して「AQUOS R9 pro」は両吊りのケースを利用しており、単体でシャッターボタンを備え、アタッチメントを介してフィルターも装着できるというアドバンテージがあります。総合的にはいい勝負だと感じます。
そのほか、画質はライカ的な写りの「ナチュラル」と見栄えのする「ダイナミック」が選べますが、フィルター的な機能は搭載されていません。将来「LEITZ PHONE」の新機種に搭載されるのかもしれません。
いずれにしても、カメラとしては現行トップクラスの「Xiaomi 14 Ultra」と並ぶ画質を実現しているのは間違いないありません。
画質以外の面では、シャッター音が小さく、カメラライクな音質という点も見逃せないところ。中国系メーカーの製品や「iPhone」「Galaxy」など、やたらと大きく耳障りなシャッター音を鳴らすスマートフォンが多いなか、「AQUOS」や「Xperia」は音がシンプルで耳触りもいいというのはメリットです。シャッター音を消せるのが一番ですが、できないのであれば、この「AQUOS R9 pro」ぐらいの音質/音量だとありがたいところです。