2番目に注目されたのは20時35~36分で、注目度79.1%。出家した太閤・藤原道長(柄本佑)を他の“F4”が見舞うシーンだ。
出家した道長のもとに、藤原公任(町田啓太)、藤原斉信(はんにゃ.・金田哲)、藤原行成(渡辺大知)が連れだって訪ねてきた。「気持ちはどうだ?」公任の問いかけに、「ん~…涼しくて、よい」とおどけて返す道長に思わず3人の表情がゆるむ。「寂しいことこの上ないな~」「死んだように言うな」「こうしておれば、昔と変わらぬのに…やりきれぬ」「50すぎまで、誰1人欠けることなく来れたことは、感慨深いのう…」皆、それぞれに思うところがあるようだ。4人は縁側へ座ると、「あっという間に、何もかも過ぎていった。あっけないものだな、人の一生とは」と、道長はおだやかな表情で言った。
行成が言葉も発せず目を赤くしていると、「泣くな」と公任があきれる。「出家されて、道長様のお心がお楽になるのであれば、それでよいと思っておりました。されど…お姿を拝見しましたら、こみあげてきてしまって…」かつての道長に対するわだかまりは今の行成にはもうない。「昔も今も、行成は道長一筋だからな」斉信のひやかしに、「なんのお役にも立てませんでした」と、行成は力なくこぼした。「なにを言うか!」そんな行成に道長は向きなおり、強い視線を向けた。「お前には、ずいぶんと助けられた。いくら礼を言っても足らぬ。いろいろと、すまなかった」2人は意見が対立することもあったが、その絆は失われずに済んだようだ。行成は道長の言葉に涙を流した。「泣くな。俺まで泣けてくるではないか」公任も柄になく、思わずもらい泣きしそうになっている。
「頼みがある」道長は立ち上がると、「これより先は、どうか頼通の力になってやってほしい。左大臣も右大臣も、足をひっぱるばかりで、なんの支えにもならぬ。頼通は心はやさしいが、いまだ肝がすわっておらぬゆえ、上にたつにはお前たちの力添えがなくてはならぬ」と、若輩である長男・藤原頼通(渡邊圭祐)への後見を3人に頼んだ。「その言いようでは、心は全く出家しておらぬな」「ん?」「頼道殿の政を、うしろから操るためか」「ああ…いやいや、そのようなつもりはない」「いや、それでよい。道長がその気なら、俺も力がわく。もうひとふんばりしようではないか」野心を隠そうとする道長だが、公任ら3人はそんな道長を支えることに自身の生きる意味を見いだしているようだ。「よしなに頼む」道長は終生の友たちに頭を下げた。
変わらぬ友情に癒やされる視聴者続出
このシーンは、F4の不変の友情に視聴者の注目が集まったと考えられる。
道長が出家しても変わらない4人の友情には心温まるものがある。これまで物語を彩ってきた大勢の登場人物が次々と退場していく中、そんな道長を若い頃から公私ともに支え続けてきた公任、斉信、行成が、望月のように誰も欠けることなく友情を育ててこられたのは、公任の言うとおり4人にとってすばらしい財産といえるだろう。
ネットでは、「道長くん、F4のみんなといるときは、三郎に戻るのがかわいい」「臣公任さまや道長くんのセリフを聞いていると友だちっていいものだなと思わされますね」「行成くん、道長のこと好きすぎるでしょ」「道長に一番言ってほしい言葉をストレートにもらえたのって、まひろちゃんでも倫子さまでもなく行成くんだったね」と、道長が出家を果たしても変わらぬF4の友情に癒やされる視聴者の投稿が多く見られた。
久しぶりにトップ3入りを果たしたF4だが、惜しくも一番注目されたシーンとはならなかった。第19話「放たれた矢」でも、1位の座は小麻呂に譲っている。猫は無敵だ。余談だが、剃髪(ていはつ)した頭が涼しいという柄本のセリフがあったが、実際は髪がなくなったことで照明が直接頭皮に当たり、逆に熱かったそうだ。