2番目に注目されたのは20時26~28分で、注目度75.7%。内裏に怪文書が出回るシーンだ。
道長が病に伏せると内裏に怪文書が出回った。「左大臣の病をよろこんでいる者、大納言・道綱」右大臣・藤原顕光(宮川一朗太)が文書を読み上げると、「俺!?」と、大納言・藤原道綱(上地雄輔)は目を丸くした。「大納言・実資、中納言・隆家、参議・懐平、参議・通任」顕光は構わず残りの名も読み上げる。「おお、俺も入ってるの?」道綱にはまったく身に覚えがないのかこれ以上ないほど狼狽(ろうばい)している。そんな道綱に顕光はため息をつきながら疑いの目を向けた。「俺は、道長の病、心配してますよ! あいつはよく働くし、いい弟だもの! 誰よりも心配してますよ。なななな…何だ、こんなもの!」うろたえながら必死で弁解する道綱の姿はいかにも怪しく見えもする。
同じころ、大納言・藤原実資(ロバート・秋山竜次)も文書を手にとっていた。「どこの輩(やから)がこのようなことを…」「いかがいたしましょう」養子である藤原資平(篠田諒)が心配そうに実資に問いかける。「放っておけ」実資はすぐに冷静さを取り戻し、資平に捨て置くように命じた。同じ文書は中納言・藤原隆家(竜星涼)も入手していた。ききょう(ファーストサマーウイカ)は隆家を前に、「こういうものが出回るのは、皆の心がすさんでいるからでございましょう。嫌な世になりましたわね。さきの帝の頃はこういうことは、一度としてございませんでしたのに」と、あきれたようにまくし立てた。「俺の名前も書いてあるが、病の左大臣様をお訪ねして、我が身の潔白を申し立てるのも、気が引けるしな」隆家はそう言って酒をあおる。「放っておけばよろしいのでございますよ。左大臣様のお命は、長くはもちますまい」ききょうは冷たく言い放った。
慌てふためく道綱に注目「無垢なオーラはすごい」
このシーンは、トラブルに巻き込まれ、慌てふためく道綱に注目が集まったと考えられる。また、道綱とは対照的に冷静な反応を見せた実資と隆家にも関心が寄せられたと考えられる。
道綱にとって道長は残された最後の兄弟。作中でも道長をかわいく思っているシーンが何度も描かれており、まったくのデタラメな怪文書に仰天した設定だが、怪しさを醸し出す上地の動揺した演技は絶妙だった。実資と隆家も含め、キャラクター個々の性格をうまく反映したそれぞれの対応の対比は興味深いものがあった。
ネットでは、「道綱くん、本当に道長を心配してるね。何も考えてなさそうだけど」「道綱の無垢なオーラはすごい」「ぶれないし流されない実資ってえらい」「隆家って冷静に判断できるようになったんだ」といったコメントがアップされている。一方で「道綱がリストに入っている時点でデマって気づきそう」「道綱の名を入れたことで一気に信憑性下がった気がする」という意見もあり、道綱をよく知る視聴者からは眉唾物の文書だったようだ。今も昔もこういったウワサには実資や隆家のようにスルー一択とするのがセオリーだが、それができない道綱は愛するべきキャラクターだ。
怪文書に道綱の名が書かれていた理由は、『光る君へ』公式Webサイトの特集記事「をしへて!」で詳しく解説されている。記事によると道長がもし亡くなれば、貴重な大臣の席が一つ空き、筆頭大納言である道綱が大臣へ昇進するからだと内裏で思われていたようだ。納言には複数の席があるが、当時の大臣は左大臣・右大臣・内大臣に加えて名誉職である太政大臣の4席で定員はそれぞれ1名のみだった。そのため、道長の病を喜ぶ者のリストに道綱の名もあったのだろう。このタイミングで道綱が大臣になって喜ぶのは本人以外では誰なのだろうか。それを考えれば犯人はすぐに分かるはずだ。