今回のランキングでは、トップ3すべてが初回放送から大きく順位を上げ、逆に初回放送のトップ3はいずれも5位以下に後退。初回と最終回で、注目度に大きなギャップが生じる結果となった。
また、初回放送ランキングの全番組平均注目度(個人全体)が64.7%だったのに対し、最終回の全番組平均は62.8%と約2ポイント下落。最終回の平均世帯視聴率も10%を超えた番組はゼロとなり、全体的に低調だったという印象は否めない。
これには、夏のオリンピック中継が影響した可能性がある。一部ドラマで放送休止が発生したり、リアルタイムでオリンピック中継を見ることを優先させたりした視聴者も多かったことだろう。視聴習慣が途切れたことで、ドラマから視聴者が離れてしまったことが一因と考えられる。
とはいえ、1位の『海のはじまり』は、初回放送と比較して視聴率・注目度ともに上昇し、TVer再生数の歴代最高記録の更新でも話題になるなど、視聴者を惹きつけたヒット作も生まれている。
『しょせん他人事ですから』『マル秘の密子さん』も上昇
トップ3以外の作品では、男性ランキングで初回と最終回で1位を獲得した『しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~』(テレビ東京)も、視聴質という観点から興味深い作品だ。男性の注目度とは対照的に女性では15位と大きな開きがあり、全体では11位という結果に落ち着いた。何がこれほどまでに男性層の支持を集めたのだろうか。
中島健人が演じる保田理弁護士は「しょせん他人事」という冷静なモットーを掲げ、SNSトラブルやネット炎上の裏に潜む問題を解決していく姿が描かれている。最終回では粗品演じるMr.チェケラの炎上案件を巡る展開が話題となり、中島の毅然(きぜん)とした演技に「スカッとする」「かっこいい」といった声がSNSで多く寄せられた。
男性がこのドラマに特に注目した理由として、保田弁護士の冷徹ながらも理論的な判断と、その中で見せる正義感が共感を呼んだことが考えられる。ネット社会の問題にリアルに向き合うストーリーは、現代社会において自分を守る術を知りたいと思う男性視聴者に刺さったのだろう。また、「他人事」をモットーとしながらも、依頼人のために全力を尽くす保田の姿勢は、仕事に真摯(しんし)に向き合う多くの男性視聴者の理想像を体現していたとも考えられる。本作は現代のリーガルドラマの新たな形を示したとも言え、続編への期待も高まる一作となった。
他にも、初回の注目度が15位とやや低調なスタートを切りながら、最終回で注目度5位に大きくランクアップした『マル秘の密子さん』(日本テレビ)の存在も見逃せない。このドラマは、福原遥が主演を務めるサスペンスで、突然大企業の大株主となったシングルマザー・今井夏(松雪泰子)と、どんな依頼もかなえる謎のトータルコーディネーター・本宮密子(福原)の物語。密子は夏のサポート役として現れながらも、実は姉の死の真相を追う裏の目的を抱えている。
最終回では、荻野目専務(石井正則)の衝撃的な正体が明らかになり、SNS上で「怖すぎる」「まさかの展開」といった反響が続出。福原の迫真の演技が視聴者の心を捉え、注目度の急上昇につながった。