テレビ画面を注視していたかどうかが分かる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、7月にスタートした夏ドラマ最終回の注目度ランキングをまとめ、人気の傾向を分析した。

  • 『海のはじまり』に出演した有村架純(左)と泉谷星奈

    『海のはじまり』に出演した有村架純(左)と泉谷星奈

男女の注目度差が14ポイントと大きな開きに

1位は、フジテレビの月9ドラマ『海のはじまり』。個人全体の注目度は66.9%と高水準を記録し、特に女性視聴者からの支持が顕著で、その注目度は71.8%に達している。

目黒蓮の月9初主演作として話題を呼んだ本作は、親子愛をテーマにした感動的なストーリー展開で、幅広い年齢層の視聴者の心をつかむことに成功した。本作のストーリーは、目黒が演じる月岡夏が、亡くなった恋人が自分の娘を産んでいたことを知るという複雑な設定から始まる。親子の絆を軸に、有村架純が演じる現在の恋人との関係も絡み合い、視聴者の心を揺さぶる展開が続いた。

最終回のクライマックスでは、夏が古川琴音演じる水季からの手紙を読み、彼女の思いを受け入れるシーンが印象的だった。この手紙の内容については、SNS上で様々な意見が飛び交った。「泣いた」「感動した」という声が多く聞かれる一方で、手紙の内容に疑問を呈する意見もあり、視聴者それぞれの解釈が垣間見える展開となった。また、この手紙によって『海のはじまり』というタイトルの意味が明かされ、「タイトル回収が素晴らしい」という感想も多く寄せられている。

本作はTVer再生数でも注目を集め、第1話の再生回数が462万回を突破。これはTVer再生数の歴代最高記録の更新となり、2022年10月期に放送された『silent』の443万回という記録を上回る成績だ。『silent』も目黒が出演して話題を呼んだが、『海のはじまり』は同じ脚本家の生方美久氏とプロデューサーの村瀬健氏が再タッグを組んだ作品として、さらなる期待を集めたようだ。

制作の途中で目黒の体調不良という予期せぬ事態が発生し、放送スケジュールの変更を余儀なくされた。しかし、これが視聴者の注目度をさらに高める結果となり、最後まで変わらぬ応援が続いた。目黒にとって待望の月9初主演作であり、並々ならぬ情熱で取り組んだ姿勢が、視聴者の強い支持につながったと言えるだろう。

注目度データを見ると、男女の注目度差が14ポイントと大きなギャップが見られる。内容的に男性には共感が得にくかったのかもしれない。一方で女性は、共感だけでなく、理解できないといった声も含めて高い注目度を記録する結果となったようだ。

このように、『海のはじまり』は高い注目度を維持しながら、視聴者の感情を揺さぶる展開で最後まで注目を集め続けたドラマとなった。目黒、有村をはじめとする豪華キャストの演技力も、安定した注目度を維持した要因の一つだろう。

小学1年生ながら難しい役どころを丁寧に演じた泉谷星奈にも、視聴者から「演技力がすごい」「かわいいしお芝居がうまい」という声が数多く寄せられている。また木戸大聖、大竹しのぶといった魅力的な俳優陣が脇を固めていたことも、ドラマの魅力を一層引き立て、幅広い年齢層の視聴者を惹きつける要因となったようだ。